千葉大学大学院看護学研究科「専門看護師育成・強化プログラム」
(組織的な大学院教育改革推進プログラム採択プログラム)

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活動の状況

専門看護師強化コース

平成23年度CNS研修を実施しました

参加者の感想

CNS研修に参加して

千葉大学大学院看護学研究科
平成23年度 専門看護師強化コース 岩崎 友理子

 ミシガン研修での私の目標は、アメリカでの高度実践看護を学ぶこと、アメリカの高齢者に対するヘルスケアシステムを学ぶこと、老人看護専門看護師申請に向けての自己の課題点を強化することでした。今回の研修で一番私の学びになった点は、アメリカの訪問看護に同行させて頂いたことでした。ホスピスを持つアーバーグループという所が訪問看護も併設しているため、患者さんはホスピスと自宅を自由に行き来することができ、患者さんからは「辛くなったら頼れるところ(ホスピス)があるから、安心して自宅でエンドオブライフを過ごせる」と言う言葉も聞かれました。また、ホスピスでは終末期患者さんへのリハビリテーションをみることができました。私はホスピスケアを見たのは初めてであり、リハビリテーションを行っていることに驚いたのですが、「最期の時まで自分で自分のことはやりたい」というその患者の思いに沿い、終末期でありながらもその人が生き生きと過ごせるように配慮された看護に感銘を受け、これまで自分には無かったリハビリテーションの新たな意味を感じました。後半はミシガン大学病院でCNS、NPの方々のシャドウイングをさせて頂きました。数人のCNSの実践を見ることが出来ましたが、特に私はマリーさんという脳神経ICUのCNSの方の組織への入り方、患者やスタッフへの接し方から、コーディネーションの大切さを痛感し、マリーさんのCNSとして生き生きと活動する姿や、スタッフから信頼されている姿を見て、こんな専門看護師になりたいと感じました。今回の研修では、アメリカの医療やケアの優れた所も理解できましたが、日本の医療や看護と比較することにより、日本の看護の細やかさや気遣いなど優れた部分も分かりました。今回は学生二人だけの研修で不安でしたが、一緒に行ったコース生やミシガンの方々の助けにより、改めて老人看護専門看護師になりたいと強く感じることができた素晴らしい研修でした。

CNS研修に参加して
CNS研修について

千葉大学大学院看護学研究科
平成23年度 専門看護師強化コース がん看護専門看護師 熊谷 靖代

 2011年9月19〜30日、アメリカのUniversity of Michigan School of NursingにおいてCNS研修が実施された。今回の研修は、がん看護・疼痛マネジメント・緩和ケア・さまざまな部署におけるCNSの活動などに関するAdvanced Practice Nursing Rolesを学習することに焦点があてられており、非常に有意義なものであった。以下、米国における疼痛マネジメントの実際について述べたい。
 今回の研修の目標の一つは、さまざまな症状をどうマネジメントしているか、特に自身で訴えることが困難な高齢者をどうアセスメントしているか、知ることであった。大学病院、Retirement Community、ホスピスでの活動を見学したが、どの施設においても、また認知症の患者であっても、患者に言葉で自身の疼痛を表現するよう励まし、その言葉をもとにマネジメントが実践されていた。評価にはNRS以外に寝ている≠竍苦痛表情≠ネどの表現があったり、非言語的なスケールを用いたりしていたが、アセスメントするスタッフによってレスキュードーズ使用頻度にばらつきがあり、米国においても主観的評価が重要な疼痛を非言語的に評価する困難さがあることを知った。しかし、ベッドサイドケアの中心となるスタッフナースの疼痛のアセスメント能力やレスキュードーズに関する知識を向上させることが、患者の疼痛マネジメント改善に影響すると考える。また、日本人に合った非言語的なスケールを開発・活用したりすることも必要かもしれないと思った。
 その他、今回同行させていただいたCNS、NP共に質問したことに対し学会ホームページなどから根拠となる情報を探し、それに基づいて説明をしている姿勢が印象的であった。疼痛のスケールのように開発された尺度を活用できるか明確でない場合、量的な研究枠組みを用い調査するなど客観的な評価に基づき、活用することは日本でも実施していくべきであると感じた。
 最後に、このような貴重な機会を与えていただいたことに感謝するとともに、研修のための準備や研修中の指導など多くの人々の尽力に感謝したい。

CNS研修について

平成23年度専門看護師強化コース開講式を行いました。

 2011年4月12日、専門看護師強化コースの開講式を行いました。第4期生として2名(がん看護,老人看護)を迎えました。

開講式写真

CNS研修を実施しました。

 本研修は、専門看護師養成の先進国であるアメリカの最先端の医療施設において、専門看護師が行なう活動の実際、専門看護師の役割・機能および必要とされる能力を学ぶことを目的とし、専門看護師強化コースの正規の科目として開講しました。

参加者の感想

老人看護CNS研修に参加して

千葉大学大学院看護学研究科
平成22年度 専門看護師強化コース 田道 智治

 私は、大学院で認知症看護について研究し、現在、高齢者専門病院の医療安全管理者として勤務しています。そこで、今回特に、米国の最先端の医療施設における認知症看護や医療安全、組織変革に関するCNSの役割を学びたいと思いこの研修に臨みました。
 9月11日、デトロイト空港に到着。9月半ばにも関わらず猛暑が続いていた日本と打って変わり、現地の冷たく澄んだ空気に、研修に向けて気を引き締められる思いがしたのを覚えています。そのような中、今回の研修計画を立てて下さり、2009年3月にはゼミにもお招きしお会いしたことがあった、老人看護CNSでもあり、NPでもあるLaura Struble教授の空港での歓迎は心温まるものでした。
 13日から始まった研修では、自分の英語力の未熟さに挫けそうになりながらも、引率の谷本准教授や強化コース生の栗本さんに支えられながら、色々なことを学ぶことができました。
 印象に残ったのは、15日のミシガン大学病院で唯一老人看護CNSとして活躍されているMary Parker先生とのディスカッションと、17日、Laura Struble教授がNPとして勤務されている、Chelsea Retirement Communityの見学です。お二人の語りや活動から伝わってきたことは、安全においては単に事故を起こさないだけでなく、患者さんのQOLや尊厳を尊重しながら安全を守るという姿勢でした。
 そのためのCNSの役割として、お二人共に「研究によって根拠を示し、教育によって職員に広める」と、語られていたことが特に印象的でした。

Laura Struble教授の空港での歓迎
CNS研修に参加して

千葉大学大学院看護学研究科
平成22年度 専門看護師強化コース 栗本 聡美

 私は、高齢者ケアシステムが充実していることで有名なミシガン大学ヘルスケアシステムでの研修に参加しました。研修前半は、ミシガン大学病院で様々な分野のCNSの活動を見聞しました。CNSは、各セクションにおける問題解決に向けて互いに連携し、チェンジエージェンシーとして活躍していました。また、常にスタッフのそばで、コンサルテーション、教育を日常的に担い、専門家が身近で活用することが患者、スタッフの安心となるのだと感じました。そして、CNSは患者、スタッフ、管理者、他職種をつなぎ、新たなケアを織り上げるための核となる存在なのだと再確認しました。私は、いろいろなCNSと触れ合う中で、自分が今まで目標としていたCNS像を新たにするとともに、「CNSになりたい」という強い決意を、再び持つことが出来ました。研修後半は、ホスピスや認知症ケアセンターなど、高齢者ケアに特化した施設での看護ケアを学びました。病を抱える高齢者にとって、医療、福祉、地域ケアの連携、シームレスなケア提供システムの重要性を肌で感じました。また、アメリカのホスピスでは、疾患や余命に関係なく苦痛緩和が積極的に行われており、日本との違いを感じました。日本の高齢者が病を抱えながらも安らかに最期を迎えるにはどういう仕組みやケアが必要なのか、示唆を得られたと思います。また、さまざまな民族が暮らすアメリカでは、文化ケアが重要とされていますが、日本にも歴史に翻弄され、現在老いを迎えている外国のかたも多くおられます。さらに、高齢者は個々に異なる文化背景を持つ存在であり、文化を基盤にしたケアの提供が大事であると、改めて気付くことが出来た研修でした。

ミシガン大学ヘルスケアシステムでの研修
2010CNS研修(老人看護)に同行して

千葉大学大学院看護学研究科
老人看護学教育研究分野 教授 谷本 真理子

 2010年9月11日〜23日の期間、老人看護CNSを目指す2名の研修生と共に、University of Michigan Health SystemにおけるCNS研修に同行しました。ミシガン大学看護学部の教員であり、老人看護CNS,NPとしても活動しているDr.L.Strubleのコーディネートにより、研修生2名が事前に提出した目的、目標にふさわしいプログラムを準備していただくことができました。
 プログラムの前半は、ミシガン大学病院での研修が中心で、日々異なるCNSとともに行動しました。病棟ケア改善についての病棟スタッフミーティングをファシリテートする場面、病院全体のケアの質改善に向けて行うCNSミーティング、病院組織全体における方針や課題について伝達・討論を行うリーダーシップミーティング等に参加しました。どのような場でも、CNSは組織のライン、患者に直接かかわるスタッフナースやコメディカル、CNS同士のつながりを十二分に生かしてケアの質向上に向けた役割を果たしているということが、その態度や雰囲気、周囲の反応等からも理解することができました。
 プログラムの後半は、ミシガン大学内の緩和ケアチーム、アーバーホスピス、Towsley Village Chelsea Retirement Community, Turner geriatric centerに行きました。一連の体験を通し、高齢者の健康課題(健康〜終末)やケアの場の特性(地域〜施設)に応じて、看護師(RN、NP、CNS)がどのように機能しているかを理解することができたと思います。
 '知りたいことは得られましたか?'と常に声をかけてくださったミシガン大学看護学部の教員、そして'これが私のミッションです。この仕事が大好きです'と語り、私たちの疑問質問に熱意をもって応えてくださる親切で誇り高きCNS、NPの方々のおかげで、短い期間で、実に豊富な、そして貴重な経験をさせていただくことができました。

ミシガン大学看護学部でのオリエンテーションで
ミシガン大学看護学部でのオリエンテーションで
Towsley Village Chelsea Retirement CommunityにてDr.L.Strubleから説明を受ける
Towsley Village Chelsea Retirement Community
にてDr.L.Strubleから説明を受ける

平成22年度専門看護師強化コース開講式を行いました。

 2010年4月12日、第3期生である専門看護師強化コース生2名と、コース授業科目の科目等履修生1名を迎え、開講式を挙行しました。正木治恵研究科長による開講の辞、中村伸枝プログラム代表の挨拶、コース授業科目責任教員の自己紹介が行われました。第3期生からは実践と研究をつなぐ役割を担っていきたいという、入学にあたっての抱負が語られました。

 開講式の後は、各教員との連絡調整、米国でのCNS研修に関するオリエンテーションが行われ、コース生からは研修に対する積極的な意見や質問が出されました。本ホームページを通じて、今後も専門看護師コースの活動と成果をお伝えしてまいります。(中村伸枝)

開講式の様子
開講式の様子

専門看護師強化コース修了証書授与式を行いました。

 2010年3月26日、専門看護師強化コース第2期生に、修了証書が授与されました。授与式後は親睦会を開催し、コースの教員からは修了生に対する厚い期待が込められたメッセージ、修了生からは1年間の感想、4月以降の活動等についてお話しいただきました。具体的には、全ての修了生が現職を持ったままコースに進学しているため、勤務先である臨床現場との調整に苦心したこと、米国でのCNS研修で肌で感じた、米国のCNSと日本の専門看護師との異同に関すること、既にコースでの学びを実践に活かしていること等が話題に上り、1年間を振り返る良い機会となりました。

 本日、4名の第2期生が巣立ち、そして4月には第3期生が入学してまいります。プログラム採択期間満了後も、専門看護師リーダーの育成と大学院教育改革に資する専門看護師強化コースの取り組みを通して、看護学研究科の総力を挙げて、国民の健康の増進に真に寄与する人材育成のために邁進してまいります。(中村伸枝)

修了証書授与式
修了証書授与式
専門看護師強化コース修了生(前列4名)と、コースの責任教員
専門看護師強化コース修了生(前列4名)と、
コースの責任教員
親睦会
親睦会

平成21年度専門看護師強化コース開講式を行いました。

 2009年4月17日、第2期生である専門看護師強化コース生4名と、コース授業科目の科目等履修生1名を迎え、開講式を挙行しました。

 正木治恵研究科長による開講の辞に続き、中村伸枝プログラム代表の挨拶、専門看護師強化コース授業科目責任教員による自己紹介が行われました。

 第2期生からは、入学にあたっての抱負をお話しいただきました。

 専門看護師強化コースは、博士後期課程に連動したコースワークであり、独創的で、かつ、看護系大学院における教育改革に資するものです。

 また、2009年4月、我が国の看護系大学院の中で最大規模を誇る本学大学院看護学研究科は、大学院部局化に伴い、全教員が大学院看護学研究科の所属となりました。

 より充実した教育研究体制を整えているなかで、臨床で活躍する5名の専門看護師強化コース生をお迎えしたことは大きな喜びであるとともに、本コースの理念が社会のニーズに合致していることを示しているものと考えます。

 「組織的な大学院教育改革推進プログラム」としては完成年度となる本年度は、本コースの運営はもとより、本プログラムの成果を広く社会に示し、併せて、看護学研究科の使命を踏まえたコースの将来構想を検討してまいります。(中村伸枝)

開講式1 開講式2
開講式3

(2009年4月)

専門看護師強化コース修了証書授与式を行いました。

 2009年3月26日、舟島なをみ教授の司会のもと、森恵美看護学部長から専門看護師強化コースの修了生に対して、修了証書が授与されました。

 授与式後、本コースに関わった教員を交えて親睦会を開催し、修了生から1年間の感想、今後の専門看護師としての活動や展望等をお話しいただきました。専門看護師リーダーにふさわしいお二方を輩出することができ、大きな喜びを感じています。

 第1期生の今後のご活躍に期待するとともに、4月からは第2期生を迎えて、より充実したコース運営を展開してまいります。(中村伸枝)

専門看護師強化コース修了生 親睦会を開催しました
専門看護師強化コース修了生 親睦会を開催しました

(2009年3月)

UCLA研修を実施しました

 本研修は、専門看護師養成の先進国であるアメリカの最先端の医療施設において、専門看護師が行なう活動の実際、専門看護師の役割・機能、および必要とされる能力を学ぶことを目的とし、本学大学院 専門看護師強化コースの正規の科目として開講しました。

参加者の感想

専門看護師強化コース  水野 芳子

 専門看護師強化コースの小児看護の研修場所はUCLAメディカルセンターでした。私は2年前にも博士前期課程の学生としてUCLAのNursing Exchange Program に参加したのでまたあの病院で学べるといううれしさと、2回目なりの学びができるかという自分への心配も感じながら出発しました。その心配の中身は、ひとつは自分の英語力であり、もうひとつは、前回の研修の後追われるように毎日をすごしており自分の実践はそう変えられていないのではないかと感じたことでした。しかし、私の英語力は確かに不十分でしたが、看護大学の先生方、ACHD Clinicやロサンジェルスこども病院のCNSやNPの方たちなど、本当に皆さん親切で出来るだけ希望にそって学べるように協力してくださり、研修病院への移動や観光まで心配して頂きました。2日間の看護大学の講義は、具体的でUSAの実際がよくわかる内容でしたし、2ヶ所の研修先では異なったCNSの組織での役割や実践をみることができ、今後自分の方向性の示唆を得ることができて期待以上に有益な研修だったと感じています。CNSもまだまだ少ないのに医師不足が前面に問題視されている日本で、自分はどうしていくか、今回の研修で得られた事を基に続けて考えていこうと思います。

専門看護師強化コース生
専門看護師強化コース生

 

専門看護師強化コース  戸谷 美紀

 8月18日(月)、19日(火)はUCLA看護学部Dr. L. Evangelista先生から「米国におけるCNSの役割」について講義を受けました。Evangelista先生は急性期看護CNSであり、UCLAメディカルセンターでの臨床を経て、現在はCNS教育と研究に携わっておられます。講義はIntroductionに続いて、CNSのCase Manager、Researcher、Coach/Mentor、Educator、Leader/Managerとしての役割について、実践的かつ理論に基づいた講義をしていいただきました。
 20日(水)〜22日(金)はUCLAメディカルセンターの腫瘍/幹細胞移植看護CNSのCristina Marioさんの活動を見学しました。Cristinaさんは25床の腫瘍/幹細胞移植病棟の看護の質に責任を持ち、入院患者を週3回ラウンドしてCNSとして自己紹介し、何か問題や困ったことがないかを確認したり、病棟スタッフの教育(ほぼ毎月新採用者あり)、UCLA近郊の地域の看護師を対象にしたOncology Core Curriculum Course(4日間)の企画・運営、臨床研究などを行っていました。病棟看護師は化学療法や患者指導を行う際に気軽にCristinaさんに声をかけ、病棟看護師が自信をもって安全に看護が遂行できるよう共に確認したりサポートしている場面が多く、印象に残りました。

専門看護師強化コース生
左:Ronald Reagan UCLA Medical Center
中央:UCLA Medical Plaza
右:UCLA看護学部作成のマニュアル「The Roles of the Clinical Nurse Specialist in the United States」

 

「専門看護師育成・強化プログラム」特任教員  臼井 いづみ

 2008年8月16日から27日、CNS強化コースの学生2名が参加してUCLAで実施された、本年度のCNS研修に同行し、看護学部での講義やRonald Reagan UCLA Medical Center、UCLA ACHD Clinic、Children's Hospital LosAngelesで行われたシャドウイングを視察しました。看護学部では、acutecareがご専門のDr.Lorraine Evangelistaから、2日間にわたりCNSの役割について、ご経験に基づいた具体的な講義をしていただきました。先生からは、日本の状況についても質問があり、学生は日本のCNSの現状や自分の実践上感じていることを積極的に話し、活発な意見交換のある充実した講義となりました。研修前に客員教授であるDr.BomarからAdvanced Clinical Nurse Specialists の講義を受けていた成果を感じました。
 UCLA Health Systemのように複数のCNSが協働している施設では、CNSの5つの役割を一人のCNSが全て果たすことは役割過重となるため、特にスタッフ教育や研究については、それぞれのCNSの得意な役割を生かして役割分担がされているとのことでした。また、カリフォルニア州の状況として、2000年以降NPが増加していましたが、最近はスタッフ教育や看護師の定着を目的として、NPとCNSの両方を持つ高度実践看護師が求められるようになってきているそうです。CNSになるための単位取得のために病院で働きつつ、大学院に通うNPが増えているとのことでした。
 Ronald Reagan UCLA Medical Center のCNSと看護学部との連携の在り方は、大変興味深いものでした。Medical CenterのCNSが選んだスタッフナースが、病棟での看護上の疑問や課題を持って、半年間、看護学部のフェロー(研究員)となり、看護学部はCNS、フェローと共同して研究に取り組み、Medical Centerの看護の質の向上や質の保証に寄与していました。CNSも大学院修士課程CNSコースの講義を担当したり、病院実習では学生を1対1で指導するなど、大学の教育にも積極的にかかわっていました。
 看護学部ではCNS教育にかかわっておられる4名の教授や准教授にお話を伺い、また、シミュレーターラボを見学しラボコーディネーターのお話も伺うことができました。この研修で学んだ様々なことを、本プログラムの遂行や現在整備中のシミュレーターラボ運営に生かしていきたいと思います。

Dr.Evangelistaと
Dr.Evangelistaと

(2008年8月16日〜27日)

Sachiko K. Claus先生の講義が行われました。

 「ナーシング・フィジカル・アセスメント」の講義が、本学の非常勤講師であるSachiko K. Claus先生(米国サギノウヴァレイ州立大学大学院教授、成人継続教育学博士)により行われました。
 受講生からは、「わかりやすかった」「新たな知見を得た」「これまでフィジカル・アセスメントを包括的に学ぶ機会がなかったため、実践に活かせるよい学びができた」等の感想が聞かれ、大変好評を得ました。

Sachiko K. Claus先生をご紹介します。

主な研究分野

 成人教育論の視点から見た高度看護専門職の育成と継続教育

ご略歴

1976年
ミシガン州立大学看護学部卒業(BSN)
1979年
ミシガン大学大学院看護学修士課程修了(MSN,CNS)
1986年
ミシガン州立大学大学院成人継続教育学博士課程修了(Ph.D.)
1997年
ミシガン大学大学院看護学修士課程ファミリーナースプラクティショナープログラム修了
1997年
American Nurse Credentialing Center Family Nurse Practitioner Certification取得(APRN,BC-FNP)
1998年
ミシガン州ナースプラクティショナー資格取得
2003年
および2007年 ANCC FNP、ミシガン州ナースプラクティショナー再認定取得

主な著書書

 Madeleine M. Leininger(1991). Culture Care Diversity and Universality:A Theory of Nursing. National League for Nursing.(マドレイン・M・レイニンガー.稲岡文昭【監訳】,クローズ幸子・石井邦子・筒井真優美・渡辺久美子【訳】〈1995〉.レイニンガー看護論―文化ケアの多様性と普遍性―.医学書院.)

主な受賞歴

1976年
ミシガン看護協会看護教育者オブ ザ イヤー受賞
2002年
The Honor Society of Nursing, Sigma Theta Tau International,Theta Chi Chapter, Excellence In Nursing Practice Award受賞
他多数を受賞
講義の様子
講義の様子
講義の様子
講義の様子
講義の様子
講義の様子

(2008年7月28日、30日)

客員教授 ペリ・ジェーン・ボマー先生をご紹介いたします。

 先生には現在千葉大学客員教授として、看護学研究科において、博士前期課程の学生に「Family Nursing」を、博士後期課程の学生に「Community based nursing research」を、そして、CNS強化コースの学生には「Advanced Nursing」をご講義いただいています。Learning Circle を用いた教授法で、各クラスとも毎回熱心な講義が展開されています。

bomarsensei

ご略歴

1970年
米国オハイオ州立アクロン大学看護学部卒業
1972年
米国オハイオ州 ケース・ウェスタン・リバース大学
フランシス ペイン ボールトン看護学部 修士課程修了
看護学修士 専攻 母性看護学
1982年
米国オハイオ州立アクロン大学にて 
Ph.D(Family Ecology and Educ. Administration) 取得
1983年
サンディエゴ大学フィリップ Y.ハーン看護学部 家族看護学教授
1994年
イーストカロライナ大学母子看護学教授
1996年
ノースカロライナ州立大学ウィルミントン校看護学部教授
2001年
ノースカロライナ州立大学ウィルミントン校看護学部研究副学部長
2008年 4月
千葉大学看護学部客員教授
6月
ノースカロライナ州立大学ウィルミントン校看護学部名誉教授

主な受賞歴など

1972年 シグマ・セタ・タウ国際看護学会
2004年 Family Nursing Scholar Award 受賞

主な著書等

 Bomar,P.J.(2004) Promoting Health in Family(3rd ed.) :Saunders.
この本は、AJNのEditor and author Awardを受賞しています。また、米国だけでなく、日本、ブラジル、カナダ、イギリスの修士課程、博士課程で使用されています。

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ボマー先生にお話を伺いました

なぜ Family Nursing に興味をもたれたのですか?

 30数年前、アクロン大学に大学院修士課程を作る時には、まだ Family Nursingのコースはありませんでした。全米でも2か所しかFamily Nursingのコースはなく、教える人がいなかったためです。私は母性看護を専攻していましたが、Health Promotion に興味があったこと、そして、あらゆる年代の人を対象にできることから、Family Nursingの担当に名乗りを挙げました。小児看護、成人看護の教授たちと協力して、コースを開設しました。

先生がお書きになった本について教えてください。

 教授陣で、「教科書が無い」と困っていたところ、出版社から「先生がお書きになったらどうですか?」と提案がありました。最初は「えーっ」と思いましたが、本の内容や骨子を決めると、それぞれの原稿を書く適任者を、出版社がアメリカ、カナダから探してくれて、今では、第3版を出版するに至ります。この本の中でFamily Nutritionについて書いてくれたのは、私の最初のFamily Nursingクラスの大学院生です。彼女は、Nutritionの専門家でした。授業を進めて行く中で、彼女は家族の中におけるNutritionの重要性に気付いて、それを、自分の研究テーマにしたんですよ。

日本語翻訳版を出されるご予定は?

 計画はしています。ただ、翻訳するだけではなく、日本の家族についても、盛り込みたいですし、内容も日本の家族の現状にフィットするようなものにしたいので、
もう少し時間がかかると思います。

最後に日本の専門看護師にメッセージをお願いします。

 Research supports that families are where health promotion and disease prevention is taught, supported or undermined. Therefore, Clinical Nurse Specialists of Japan are encouraged to include families in all aspect of nursing care for individuals, families and communities beginning with assessment of the problem or issue and ending with evaluation of the intervention.

(2008年6月)

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「専門看護師のための最新病態学」の講師、井上泰先生をご紹介します

井上泰先生(東京厚生年金病院病理科部長)

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日本病理学会評議員、日本病理学会認定病理医、日本超音波医学会認定専門医、日本臨床細胞学会認定細胞診専門医。医学博士(東京大学)。

著書:『ナース・研修医・コメディカルのための なぜ? がなるほど! 病態生理絵解きゼミナール』メディカ出版、2008
『学生のための疾病論 人間が病気になるということ』医学書院、2001
『これだけは知っておきたい疾病の成り立ち』医学書院、2000
『超音波消化器病学』南江堂(共著)、1996
『在宅ケアーへのアプローチ 訪問看護の確立をめざして』医学書院(共著)、1988

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井上先生へのインタビュー

難解な病態をわかりやすく講義してくださいまして、ありがとうございました。ご苦心された点等お聞かせください。

井上 苦心というより気をつけている点は、現場のリアリティを絡めて病態を説明することです。何が起こるか分からないのが医療の現場ですから、自分の思い通りにならない状況下で迅速に判断する対応が必要となります。だから、どのような状況でも自らがパニックにならないための知識の習得と学習が重要だと考えています。もうひとつは、自分が伝えたいことをなんとか学び手に理解して欲しいという思いです。そのために、言語化出来ない部分を補完する絵を描いています。これは意図的な絵ですから、芸術家が描く趣のある絵とは違います。出来る限り解剖学にのっとった正確な人体の構造の絵にこだわります。

絵が、大変に素晴らしいです。

井上 素晴らしいと言っていただいて恐縮です。私の描くものは単純な二次元の絵でして、余分なことを一切省いたものです。

伝えたいことに忠実に描いているということですね。

井上 忠実と言うわけではありませんが・・・。主題は一つ、この絵を見た人が、私自身が意図する方向で了解してくれるかです。そういう意味で、写真ではなく単純な絵にはこだわります。

『なぜがなるほど病態生理ゼミナール』の三年間連載で出版社との連絡調整を、熱心にされたと聞いています。

井上 月刊誌では、通常1回あたりせいぜい4ページのところを、6ページに拡大して連載しました。絵も描いているので、どうしてもページ数が足りなくなります。出版社のスタッフも工夫してくれました。
 私のテキストは、看護師向けの通常のテキストよりもかなりレベルが高く、深い内容になっています。病態生理を含む基礎科学の教育において、医師が学ぶことと看護師が学ぶことに差があってはならないと考えているからです。だから、「これは看護師は知らなくていい」というような配慮はしません。安直でわかったような気になる知識は、医療現場で使い物になりません。
 定着した専門知識をもち、あくまでも患者の立場に立つ、患者が危険な方向に向かいそうなら、厳しく諫める。そのような看護師が一人でも多く育って欲しいと念じています。この思いがなければ、このような教科書を書くこともなく、看護教育に関与することはなかったでしょう。

最後に、専門看護師に期待することをお聞かせください。

井上 先ほど述べたことと重なりますが、あくまでも病める人の立場にたった知識と理論を持ち、手技を身につけ、発言や行動ができることを期待します。
 医療という場が、はからずも病気を担ってしまった一人の人間との対峙から始まるという当たり前の事実を忘れないこと。そして、その医療と看護が、医師・看護師・パラメディカルといった複数のスタッフの行動から構築されていることを認識すること。その基盤に立ち、看護師という専門領域に矜持をもち、患者にとって、時として理不尽と思われる言動をした医師やパラメディカルスタッフに遭遇したとき、即座に、毅然とした態度がとれる専門看護師になられんことを。
 病める人間を支援できる技術論(テクノロジー)がしっかりしていれば、人間のコミュニケーションを醸し出すヒューマニズムは、自ずと後からついてくるものです。

貴重なお話しを、ありがとうございました。

講義の様子
講義の様子

(2008年5月)

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「専門看護師強化コース」が始まりました

 平成20年度4月より「専門看護師強化コース」が開始されました。本年度はコース生2名、科目履修生2名が入学し、4月から現在までに「専門看護師のための最新薬理学」「専門看護師のための最新病態学」そして、客員教授Dr.Bomarによる「Advanced Clinical Nurse Specialists」を受講しています。8月にUCLA Medical Centerで行なうCNS研修を前に、ネイティブ講師による語学研修も開始されています。
 本年度は、試行錯誤の運営になると思いますが、本コースの目的と照らしながら夢と熱意をもって取組んでいきたいと思います。(プロジェクトリーダー 中村伸枝)

4月の受講開始を前にコースの学生、教員とで、茶話会を開きました。
4月の受講開始を前にコースの学生、教員とで、茶話会を開きました。

(2008年4月)


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