看護教育学

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看護教育学は、看護学各領域に共通して普遍的に存在する要素を研究対象として、看護学生を含む看護職者個々人の発達の支援を通して、質の高い看護の提供を目ざす学問です。この定義は、看護教育学が看護を提供する側に焦点を当て、教育活動および研究活動を行うという特徴を示しています。

これらを前提として、本教育研究分野は、様々な職業的発達の過程にある看護職者の目的・目標に応じて、その学習を支援しています。例えば、将来、自律的な看護専門職者を目ざす学部学生には、その基盤となる看護学教育の基本的知識を教授する一方、病院に就業する看護師や看護学教員には、さらなるキャリア発達を可能にする教育的知識や技術を提供しています。

また、看護教育学は、ありのままの状態から本質を取り出し、それに基づく看護実践や看護学教育を重視するとともに、先人の知見から最大限に学び、これを基盤とした活用可能な研究成果の産出を理念としています。この理念に基づき、本教育研究分野は、看護基礎教育、看護卒後教育、看護継続教育の3領域にわたり看護教育学独自の研究方法論を駆使した質的研究、その成果を反映した量的研究を行なっています。具体的には、看護基礎教育研究として教員・学生の行動や経験の概念化とそれに基づく自己評価尺度の開発、看護卒後教育研究として修士論文・博士論文作成過程の経験の概念化、授業過程評価スケール-修士課程用-の開発、看護継続教育研究として院内教育プログラム開発と学習ニードアセスメントツール・教育ニードアセスメントツールの開発などです。これらの研究成果は、既に多くの教育機関、医療機関によって活用されています。

研究業績

原著

2017年1月~3月

  1. 山品晴美,舟島なをみ*,中山登志子:看護チームにおける看護師間相互行為に関する研究-病棟の勤務帯リーダーとメンバーニ者間に着眼して-.看護教育学研究,26(1),9-21,2016.
  2. 伊勢根尚美,舟島なをみ*,中山登志子:看護学実習に携わる看護師の行動に関する研究-病院をフィールドとする実習に焦点を当てて-.看護教育学研究,26(1),39-54,2016.
    *2017年3月まで本研究科教員

学会発表抄録

2017年4月~12月

  1. 金谷悦子,舟島なをみ*,中山登志子:看護職者のための研究倫理行動自己評価尺度の開発と有効性の検証-看護職者の研究倫理行動の質改善に向けて-.第27回日本看護教育学学会学術集会講演集,8-9,2017.
  2. 渡辺健太郎,舟島なをみ*,中山登志子:看護単位別学習会の企画・運営に伴う困難とその克服法-院内教育の質向上を目指して-.第27回日本看護教育学学会学術集会講演集,10-11,2017.
  3. 中山登志子,舟島なをみ*:実習指導者が直面する問題の解明.日看研誌40(3),296,2017.
  4. 山品晴美,舟島なをみ*,中山登志子:「医療安全自己評価尺度-助産師用-」の開発.第48回日看会抄録(ヘルスプロモーション),155,2017.
  5. 山澄直美,舟島なをみ*,中山登志子:「研修デザイン評価スケール-院内教育用-」の開発.第48回日看会抄録(看護管理),435,2017.
  6. Naomi Yamasumi, Naomi Funashima*, Toshiko Nakayama:Development of the Course Design of In-Service Education Evaluation Scale. International Nursing Research Conference 2017, Thailand, 2017.
  7. 山下暢子,舟島なをみ*,中山登志子:「看護学生のための問題自己診断尺度-看護学実習用-」の開発(信頼性・妥当性の検証).第37回日看科会学術集会,仙台,2017.
  8. 中山登志子,舟島なをみ*:「授業過程評価スケール(教養教育用)」の開発-質の高い教養教育の授業展開を目指して-.第37回日看科会学術集会,仙台,2017.
    *2017年3月まで本研究科教員

報告書

2017年1月~3月

  1. 千葉大学大学院看護学研究科看護教育学教育研究分野研究推進コース編:看護教育学の構築と発展-その活動の軌跡-.第9号,2017.

研究状況

看護教育学専門領域は,看護基礎教育,看護卒後教育,看護継続教育の3領域にわたり研究活動を展開し,その成果を公表した.

看護基礎教育

学生の看護学実習における問題解決支援に向け,「看護学生のための問題自己診断尺度-看護学実習用-」を開発した(9).また,2015年度より助成を受けている学術研究助成基金助成金「教養教育授業評価スケールの開発と有効性検証-授業改善システムの構築に向けて-」(挑戦的萌芽研究)(研究代表者:舟島なをみ,研究分担者:中山登志子他)の成果として,教養教育の授業の「過程」の質を測定する「授業過程評価スケール(教養教育用)」を開発した(10).さらに,教養教育の授業の「デザイン」を評価できる「授業デザイン評価スケール(教養教育用)」開発に向け,分析結果をまとめている.

看護卒後教育

2015年度より助成を受けている学術研究助成基金助成金「研究指導能力向上のための『研究指導評価スケール-看護学修士論文用-』の開発」(基盤研究(C))(研究代表者:松田安弘,研究分担者:舟島なをみ,中山登志子)の推進に向け,博士前期課程(修士課程)の大学院生が知覚する教員の「良い指導」「良くない指導」を問うデータの収集を完了した.引き続き,分析を進めている.
また,看護教育学専門領域は,2008年4月より,看護教育学を専攻した博士後期課程修了生を対象に「研究推進コース」を開講し,活動を継続している.これは,ポスト・ドクトラル・コースとして機能するとともに,看護卒後教育の質向上に向け研究指導能力の向上をめざす活動であり,2016年度の活動の成果を報告書としてまとめた(11).

看護継続教育

病棟の看護チームの機能の発揮,維持,向上を導く看護職者の育成に向け,看護師がチームの一員として展開する相互行為パターンを解明した(1).また,院内研修の一環として行われる分散教育の質向上に向け,看護職者が直面する看護単位別学習会の企画・運営に伴う困難と克服法を解明した(4).さらに,学術研究助成基金助成金「院内研修評価モデルの開発-総合的評価による院内教育の確実な質改善に向けて-」(基盤研究(C))(研究代表者:山澄直美,研究分担者:舟島なをみ,中山登志子)の成果として,「研修デザイン評価スケール-院内教育用-」を開発(7,8)し,現在,この尺度の運用ガイドを検討している.
2015年度より助成を受けている学術研究助成基金助成金「医療事故防止のための『看護職包括型患者安全教育推進システム』の開発」(基盤研究(B))(研究代表者:舟島なをみ,研究分担者:中山登志子他)の成果として,「医療安全自己評価尺度-助産師用-」を開発した(6).また,看護師長および実習指導者が医療安全行動を評価できる尺度の開発に向け分析とデータ収集を進めるとともに,プリセプターの医療事故防止行動を解明する分析を終え,信頼性を検討している.
実習指導に向けては,看護学実習に携わる看護師に着目し,その行動を表す概念を創出し,看護師が実習指導の際の指標とすることを可能にした(2).また,学術研究助成基金助成金「臨地実習指導者の問題診断克服型教育プログラムの開発」(基盤研究(C))(研究代表者:中山登志子,研究分担者:舟島なをみ)の成果として,実習指導者が直面する問題を解明(5)するとともに,これに基づき実習指導者が自身の直面する問題を診断できる尺度の開発に向け分析結果をまとめている.
加えて,看護専門職者としての研究活動に着眼し,研究における倫理的行動の質の改善に向け,研究に携わる看護職者が研究倫理行動を自己評価するための尺度を開発した(3).