千葉大学 看護学部・看護学研究科において、エンド・オブ・ライフケア看護学講座が開講されることを記念し、去る3月5日(土)に講演会を開催いたしました。この講演会では講座を担当する各教員による「エンド・オブ・ライフケア」の基本理念などの提示が行われ、講演の最後には集まった聴衆の皆様からの質疑応答の時間も設けました。
質疑応答時間にはお集りいただいた多くの方々からたくさんのご質問やご意見をいただき、今後のエンド・オブ・ライフケア教育の発展に非常に有益な講演会になったと考えております。この場を借りて、ご参加いただきました皆様に御礼申し上げます。
今回の講演会に参加された方からレポートをいただきました。
人として、どのように死ぬかというのは、どのように生きるかと同じくらい大きな意味を持つものです。家族として、祖父母や母親を見送った体験から、終末期医療、そして高齢者医療や在宅医療に興味を持ち、今回の講演会に参加しました。
これまで、がんなどの終末期は「ターミナル期」と呼ばれてきました。この終着駅を意味する言葉には、何か暗く救いがないようなイメージを持っていました。けれども、今回の講演を聞き「エンド・オブ・ライフケア」には、もっと広く前向きなものを感じました。これまで私たち患者や家族は、医療を「受ける」「施される」受け身の立場で捉えていましたが、エンド・オブ・ライフケアでは、自分や家族の過ごし方を自ら選び取ることによって、積極的に病や死と向き合うことができます。そこには精神的な痛みをともなうこともあるかもしれません。けれども座して死を待つのではく、最後のその日まで自分らしく生きることができるのであれば、本人にとっても家族にとっても良い旅立ちの日を迎えることができるのではないでしょうか。また、エンド・オブ・ライフケアは、がんや腎不全などの余命が予測される病だけではなく、認知症や寝たきりなどの長期にわたる病との向き合い方をも網羅されるとのこと、これから増えゆく高齢化社会ならではの病を包括することで、家族や介護の考え方、関わり方も変わってくるのではないかと考えます。
人に死がある以上、当事者として、家族として終末期に向き合う場面が必ずあります。日本の看護学の最先端を行く千葉大学看護学部に、エンド・オブ・ライフケア研究室ができることは、非常に心強いことと感じます。エンド・オブ・ライフケアという言葉が、もっともっと身近な存在になるよう、これからの発展を期待します。