エンド・オブ・ライフケア看護学への千葉大学の取組

生きるを考える/2011年度

普遍教育「生きるを考える」第9回の様子

急性期病院におけるエンド・オブ・ライフケア

[日程]平成23年11月29日 III時限/12:50〜14:20(場所 B)
[講師]細矢 美紀(国立がん研究センター中央病院 看護部 がん看護専門看護師)

  • 講義の様子
    講義の様子
  • 細矢 美紀先生
    細矢 美紀先生

受講生の感想

はじめに、「人の死に目に会ったことのある人は?」という質問があり、約30人が挙手。その中のおひとりの方の体験談を聞いた後、細矢先生が看護師を目指した理由である祖父の死に関する体験を話された。

次に、国立がん研究センター中央病院の概要について平成22年度の新患数が年間8656名で日本で第2位であり、外来患者数1日平均978名、平均入院日数13.1日であることなどが説明された。そして、ある胃がんの患者さんの経過(2008年発症し2011年に死亡)について挙げ、手術や化学療法、放射線治療の時期と伴に、痛みは薬で抑えられるものの身体症状は死亡約30日前から急激に増加すること。日常生活動作の多くは死亡10日から1週間前に介助が必要な程制限されることが示された。このことから、急性期病院では、ほとんどの抗がん剤や放射線治療は外来で受けること、入院は手術等短期間のみであること、ここ数年で新薬が次々開発され患者が受けたいだけ受けられる抗がん剤があること、抗がん剤ができない状態になった時には患者さんに残された時間は少なく1か月であるという現実も示された

更に、細矢先生の考えるエンド・オブ・ライフケアについて、Kさん(65歳、乳がん、S状結腸がん)を例に述べられた。Kさんの言葉を手掛かりに考察し、同時に、柳田邦男「『死の医学』への序章」(1990)から「死を不可避なものと意識することは」、岸本英夫『死を見つめる心』(1973)から「死に直面した人が思うこと」、アルフォンス・デーケン「死の不安と恐怖」の9項目を参考にしている。そして、Kさんが教えてくれたこととして、人は危機に遭遇しても周りの人との関係性の中で生きる意味や価値を見いだせる力を持っている。だから、看護は、謙虚に苦しみに耳を傾けること、患者が大事にしたい希望を最後まで支えることであると述べておられました。

感想としては、細矢先生が最後に挙げられた、ケアリングの定義と共に、「自分の人生の中で「これだ」と思うものに情熱をもって取り組み、自分自身何をすべきか、自分の心を見つめて生きていって欲しい」という言葉は、今回の講義の対象である学生に向けた、応援メッセージに思えました。