エンド・オブ・ライフケア看護学への千葉大学の取組

生きるを考える/2012年度

普遍教育「生きるを考える」第4回の様子

慢性疾患と共に生きる患者と家族のエンド・オブ・ライフケア

[日程]平成24年10月23日 III時限/12:50〜14:20(総合校舎B号館)
[講師]谷本 真理子(千葉大学大学院看護学研究科 准教授)

  • 講義の様子
    講義の様子
  • 谷本 真理子先生
    谷本 真理子先生

受講生の感想1

エンド・オブ・ライフといえば、がん。そんな風に連想してしまい、がん以外の病気を対象としたエンド・オブ・ライフケアに対するイメージをほとんど持っていませんでした。今回の講義を聞いてその理由を考えたところ、ホスピスの対象ががんとHIVだけ、という日本の緩和ケアの遅れもその要因の一つであるように思えました。ホスピスはがん患者のために作られたものだと思っていたので、日本の緩和ケアが充実していないと知り、驚きました。
非がん患者の緩和ケアをどのように行っていけばよいのか。その答えの一つとして、治療の遂行だけでなく、患者が自分自身を大切にするケアの必要性を感じました。その点に関して、セルフケアの果たす役割は大きいと思いました。末期の患者さんが治療的で効果のあるセルフケアを行うことももちろんですが、私はむしろ予防の観点から、いかに人々がセルフケアを行うかも重要だと考えます。適正カロリー内に抑えるように食事や栄養バランスを気にしたり、意識的に運動をしたりすることは、すこし面倒かもしれません。でも、例えば末期の腎不全になり透析が必要となったときの経済的・精神的、そのほか様々な負担を考えると、むしろ健康なときに進んでセルフケアを行っていきたいと考えるようになりました。治療にしろ、予防にしろ、セルフケアの重要性に気付かされる内容でした。

受講生の感想2

今回のお話の中で、特に印象深かった言葉があります。それは“セルフケア”という言葉です。寒さを感じて上着を羽織る、という何気ない行為も一つの“セルフケア”であるというお話に、私の中の常識が覆され、これまで馴染みの無かったこの言葉を身近に感じる事が出来ました。そして先生が実際に出会った患者さんが“セルフケア”を実践していたというお話も、とても為になりました。
死に向かう患者さんの言葉を待つ、という行為は、とても根気のいる事だと思います。しかし沈黙を恐れず、患者さんに真摯に向き合い心の声に耳を傾ける事が本当の“エンドオブライフ・ケア”につながっていくのだという事を、この講義で学びました。この学びを忘れずに心に留め、これからの看護の実践に役立てていきたいです。