被災後のこころのケア(3)

|被災後のこころのケア|社会貢献|

~急性ストレス障害とその悪化予防~

災害から3週間が過ぎようとしていますが、行方不明の方たちもまだ多く、原発の問題も一進一退と、被災地の方たちは先の見えない不安の中で心細い日々をお送りのことと思います。災害の全容が立ち現われてくるにつれ、被害の甚大さに言葉を失います。復興に向けて、いろいろな形で私たち一人一人にできることがあると思います。私も自分の思いを継続的な行動につなげていこうと思います。

被災された方たちの中には、急性ストレス障害とよばれる症状を経験している方もいらっしゃるかもしれません。たとえば、被災に関連したつらい光景や体験が勝手に頭に浮かんできたり、夢に出てきたりして、気持ちや体が動揺するなどです。また、絶えず危険を「警戒」している状態となり、驚きやすい、びくびくする、焦る、睡眠の困難、集中や注意の困難などが起こることもあります。あるいは、被災に関連したつらい体験を避けようとして、何も感じなくなってしまったり、他者に対して無関心になったり、ひきこもったり、今までだったら楽しいと感じていた活動に興味を失ってしまうこともあります。

こうした症状が1ヶ月以上続き、苦悩や社会的機能の障害が認められる場合、PTSD(外傷後ストレス障害)と診断されることもあります。なお、PTSDの診断・治療は専門医によって慎重になされます。

今回は、急性ストレス障害の悪化を防ぎ、自然回復を促すために、自分自身ができることをあげてみました。ご家族やお友達にも教えてあげてください。

まず、被災に関連したつらい体験を思い出す刺激(映像、音、匂いなど)から自分自身を保護することです。テレビやラジオの報道番組は、災害の様子を伝える映像や音声を繰り返し放送することがあります。そうした映像や音声に触れると被災体験を思い出してつらくなったり、恐怖を思い出したりすることがあるので、これ以上つらさや恐怖を思い出させるような報道番組の視聴を控えてください。

次に、自分自身で安全と安心感を高めることができるように、次のことに取り組んでみてください。

  • どのような救援活動が行われているか情報を得て、必要な支援を受ける。
  • 最新の正確な情報を手に入れ、不正確で動揺させるような情報から自分の身を守る。
  • 生活をともにしている人たちとお互いに助け合い、支えあう。
  • 自分のことを気にかけてくれる人から精神的に支えてもらう。
  • 周りに困っている人がいたら、その人たちを支援する。
  • 短時間でもよいので一日に何回か心身を休める時間を作る。
  • 簡単な体操をしたり、楽しめる活動をする。

最後に、災害時要援護者といわれる方たちは、自分自身で安全や安心を守るのは難しいかもしれないので、周囲の人たちで配慮してあげてください。 周囲の人々の温かい気持ちや配慮は、その方たちの大きな力と支えになります。

  • 子ども(特に、親と離ればなれになっている子ども、家族を亡くした子ども、親が重傷を負ったあるいは行方不明になっている子ども)
  • 病気やけがをしている人、障害を抱えている人、高齢者
  • 妊娠中の女性、乳幼児をつれている母親
  • 重い精神疾患を抱えている人

精神看護学 岩﨑弥生

参考資料:
金 吉晴(2003)災害時地域精神保健医療活動ガイドライン.
厚生労働省(2006)子どもの心のケアのための(PTSDの理解とその予防)保護者向けリーフレットについて.
http://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/kokoro/06041905/003.htm 新規ウィンドウでページが開きます
American Psychological Association. Mind/body health: The effects of traumatic stress.
http://www.apa.org/helpcenter/traumatic-stress.aspx 新規ウィンドウでページが開きます

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