前同窓会会長 中村 伸枝

 1995年(平成7年)の20周年から10年間を振り返ると、看護学部・看護学研究科にとって、そして日本の看護学にとって大きな変化と発展の10年間であったことを実感させられます。看護学部・看護学研究科を振り返ると、平成7年4月の教育組織に名前を連ねた教員55名のうち、平成17年4月に残っている教員はわずかに6名です。校舎は平成15年に改築が行われ、新しくなりました。学部では平成8年度と17年度にカリキュラム改革が実施され、教育内容も大きく変化しました。入試方法も、平成14年度から推薦入試が導入されています。平成12年度からは訪問看護学教育研究分野が、平成17年度からは老人看護研究部がケア開発研究部となり、また、新たに認定看護教育課程が加わるなど、毎年何らかの新しい動きがありました。研究科においても平成14年度には千葉大学大学院看護学研究科「看護システム管理学専攻」が新設されたこと、専門看護師教育課程の認定(平成12年度:がん看護、老人看護、平成15年度:母性看護、平成16年度:小児看護)、COE : Center of Excellenceの採択(平成15年度)など様々な動きがありました。
 そして、この一つ一つが、日本の医療・福祉や看護をとり巻く変化と密接に関係していたといえます。平成17年度4月で全国の看護系大学は127校を数え、10年間で約10倍になりました。医療事故やインフォームドコンセントに対する国民の意識の高まりや疾患構造の変化、少子高齢化などは、教育内容の再考を促し、また、高度専門職を求める動きにもつながったと考えます。この10年間の急激な発展的変化は、同時に課題も生み出しています。教育現場では、慢性的な教員不足や、臨床経験の短い教員の増加、教育・研究を向上させるための時間不足など、そして、臨床現場では看護技術の修得に時間を要する看護師の増加や、様々な社会のニードにみあった看護の提供が不十分であるなどの、問題や課題が生じています。
 看護学部・看護学研究科の同窓生は平成16年度に27期生が卒業し、2,200名余りになりました。現在、看護学の教育や実践の場で中心的役割を担う同窓生は、確実に増加しています。看護が他の領域とどのように連携していけるか、看護についてどのような社会的コンセンサスが得られるかは、今後に期待される点が大きいと考えます。30周年の節目が、看護学部・看護学研究科の今までを振り返り、新たな「看護学の確立と充実」への一歩につながることを祈念いたします。

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