修了者からのメッセージ

国立国際医療研究センター　国府台病院　看護部　看護部長　木村弘江さん

研究室での出会い、学びが自信を持って仕事に向き合う力をくれた

経験の裏付けを求めて、入学を決意

　自立をして生きていきたい、と看護師の道を選んだ私は、国立名古屋附属病院で臨床の現場を学び、国立東京第二病院に転任。その後、高崎、災害医療センターで10年師長を経験し、国立国際医療センターで看護部副部長として、看護教育を担当していました。より良い継続教育ができることを目指し、経験だけではない、理論を身につけたい、今までの経験の裏付けがほしいと考えるようになり、上司に相談をしました。すると、「国立大学の千葉大学がいいのでは」とすすめられました。

切磋琢磨した仲間たちが、何よりの宝物に

　入学すると、私は5人の仲間に恵まれました。2人は看護部長、1人は副部長、そして残りの2人は師長。私が副部長だったので、ちょうどそれぞれ同じ人数という良いバランスでした。しかも、国立病院畑をずっと歩いてきた私にとって、国以外の設置主体の病院に勤めている仲間の視点や意見は非常に刺激になりました。３年間という長い間、毎週土曜日の通学を楽しむことができたのは、一緒に電車で通う仲間がいたからかもしれません。帰りの電車は他愛もない話で大盛り上がり。研究が進むとだんだん誰とも会わなくなり、孤独になっていくのですが、互いにメールで励まし合って乗り切ることができました。

管理システム領域で得た知識と自信を業務に活かす

　現在、私は国立国際医療研究センター国府台病院の看護部長として勤務しています。病院看護管理システム管理学で学んだ知識と自信をフルに活用して、看護師の環境改善、そして病院の管理システムの改善に努めています。看護師募集のためのパンフレットの作成をはじめ、労働力確保のためのさまざまなプロジェクト等を行っています。「看護師のことは看護部の問題」ではなく、病院全体の問題なのだ、という風通しのよい雰囲気を作れていることが何よりも嬉しいですね。

国立国際医療研究センター　国府台病院看護部

亀田総合病院　渡辺八重子さん

現場で起きているリアルな問題が解決とともに学術的体系となった

早かった師長着任が、外で学ぶきっかけに

　亀田総合病院の付属専門学校からそのまま病院に入り、ICUやERの仕事をしてきた私が、初めて人を管理する立場に立ったのは、27歳の時。初めは主任でしたが、半年後にすぐに師長になりました。専門学校では看護師としての知識を得ることができましたが、看護学の知識だけでは、組織に派生するさまざまなトラブルをきちんと解決することはできなかったのです。

　そこで、日本看護協会の管理者研修で、1年間マネジメントについて学んだほか、平成5年からは通信で法政大学の経済学部でも学び、経済や経営、組織について学びました。マネジメントや経済学を通して、病院のことを俯瞰的に見る目ができたことは師長として大切だったと思います。

より高きをめざして千葉大学へ

　千葉大学大学院看護学研究科の病院看護システム管理学への入学を考えたのは、教育担当管理師長になった頃です。師長として、外部の方の話を聞く機会も増えてきて「自分は成長が止まっていないか？」と感じていた時でした。また、上司から、「メディカルツーリズム問題」「外国人看護師の流入」など、世界レベルの話を聞いていたことも刺激のひとつでした。現在起きている、なかなか解決できないトラブルはもちろん、今後起こりうる問題に対して、起きる前から対応策を考えることは深刻なトラブルを未然に防ぐためにも大切だと感じたのです。

　そんな時、千葉大学の大学院を知り、「私が学びたかったのはこれだ！」と直感しました。さらに、名を連ねるそうそうたる教授陣を見て、「この先生たちから直接学べるなんて」というワクワク感もありました。同じ千葉県内の大学で仕事をしながらでも通いやすいというメリットもありましたが、他の領域ですが同期にはなんと四国から毎週通っている人もいて、その熱意に頭が下がるとともに、千葉大学の評価の高さも知りました。

日常のトラブルを知識体系として還元

　大学院に入学して一番良かったことは、現場の問題をその週に話し合えることです。人事や管理、教育など、現場で起こったさまざまな問題は、そのまま授業のテーマとなりました。現場にいれば、「大変だった」「困った」といった愚痴になりがちなことが、大学院では研究対象になります。問題を可視化・顕在化し、客観性を持たせ、時には統計や海外の事例までひもとき、皆で解決の糸口を探る。加えて、私たちの議論討論に対し、先生から学術的なアドバイスを受ける。持ち込んだ時は単なる体験だったことが、しっかりとした知識体系に裏打ちされて病院に持ち帰れる。私自身の師長としての成長はもちろんのこと、現場、病院にも良い還元ができたと思っています。