ケアテクノロジーの開発と実装を実現するケアテクマスター育成プログラム

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能力ルーブリック

能力ルーブリックとは

ルーブリックとは、米国で開発された学修評価基準の作成方法です。評価水準である「尺度」と、尺度を満たした場合の「特徴の記述」で構成されます。記述により達成水準等が明確化されることにより、テストなどの他の手段では評価が難しいパフォーマンス等の質的評価に向いています(1)。
能力ルーブリックとして評価基準をあらかじめ提示し、評価の観点を可視化することは、学習者が目標をもって主体的に学ぶことを可能にします(2)。

ケアテクマスターに必要な能力ルーブリック

テクノロジーの普及・発展がますます拡大していく社会の中で、ケアテクマスターがその役割を発揮するためには、必要な能力について具体的な指標が必要です。そこで、本プログラムでは、能力ルーブリックを作成しました。

能力ルーブリック

ケアテクマスターに求められる能力は、「ケアテクノロジーの必要性と最新の知識」「ビジョンの構築」「倫理観の醸成」「業界を超えた専門職連携実践」「開発と実装」の5つの領域から構成されています。この5つの領域は、実装戦略フレームワーク(EPIS)を参考にしています。EPISフレームワークは、最も柔軟で広く使用されている実装科学フレームワークの1つです。看護師が働く複雑な保健システムや保健組織、地域環境が考慮されており、医療・介護現場で特に有用とされています。このフレームワークには、①4つの段階(探索、準備、実装、持続)、②4つの領域(外的文脈、内的文脈、橋渡し要因、イノベーション要因)、③実装プロセス、戦略、成果に影響を与えうる相互接続、相互作用、関係が含まれます(詳細は参考資料(3)、Webサイト(4)参照)。
EPISにおける4つの段階は、実装において持続可能性を目標に活動を連続的に構成することに役立つとされています。ケアテクマスター育成プログラムとの関連からみると、【探索(Exploration)】として「ケアテクノロジーの必要性と最新の知識」があり、【準備(Preparation)】として「ビジョンの構築」や「倫理観の醸成」が挙げられます。【実装(Implementation)】には、「開発と実装」「業界を超えた専門職連携実践」が求められます。さらに、【持続(Sustainment)】の段階では5領域すべてが関与しています。それぞれの領域が段階的につながりあうことで、ケアテクマスターの能力発揮に至ると考えます。
能力ルーブリックでは、これらの能力に関する学習・習得の段階を、「C:知識として身に付けている」、「B:身に付けた知識を説明できる」「A:知識やスキルを実践の場での問題解決に応用できる」「S:知識やスキルを発展させ、他者に指導できる」という4段階で体系的に示しています。
また、このルーブリック作成の際には、経済産業省が公表している「人生100年時代の社会人基礎力」の概念も参考にしました(5)。この「人生100年時代の社会人基礎力」は、これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力と定義されています。以下にお示しした社会人基礎力の3つの能力と12の能力要素を内容とし、新たな3つの視点を切り口としています。3つの能力に基づいて自己を認識しリフレクション(振り返り)しながら、新たな3つの視点(目的、学び、統合)のバランスを図ることが重要です。本プログラムでの学習を通して、こうした力を身に着ける機会にできると考えます。

ケアテクマスターに必要な能力ルーブリック
引用元:経済産業省 社会人基礎力
3つの能力 前に踏み出す力(アクション)一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力 考え抜く力(シンキング)疑問を持ち、考え抜く力 チームで働く力(チームワーク)多様な人々とともに、目標に向けて協力する力
12の能力要素
  • 主体性:物事に進んで取り組む力
  • 実行力:目的を設定し確実に行動する力
  • 働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力
  • 課題発見力:現状を分析し目的や課題を明らかにする力
  • 計画力:課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
  • 創造力:新しい価値を生み出す力
  • 発信力:自分の意見をわかりやすく伝える力
  • 傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
  • 柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
  • 状況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
  • 規律性:社会のルールや人との約束を守る力
  • ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力

引用文献・参考資料