看護の日(看護週間)


 今年2020年は、フローレンス・ナイチンゲールの生誕200年となります。ナイチンゲールは、ヴィクトリア時代から、病院での環境衛生が劣悪であることを、データを示して、衛生基準を構築したことでも知られています。看護界を超えて、医療におけるEvidence Basedを実現したパイオニアであるともいえます。
 彼女が示した、死亡率のグラフは、「バッツ・ウィング」という非常に美しいもので、コンピュータがなかった時代に、これだけのデータを示したことは、当時のイギリス政府をも動かし、新たな衛生基準を作成するという偉大な功績となりました。
 その後の新病院の建築では、ナイチンゲールは、
 ・温水配管の設置
 ・配膳専用のエレベータの設置
 ・ナースコールの設置
 を条件に出しています。
 今では、当たり前に存在する、これらの病院の設備が、ナイチンゲールの提案だったことは、非常に興味深い点です。

病院の環境衛生に大きな功績を残した、彼女の生誕200年を迎える今。
Covid-19による地球規模のパンデミックが発生したことを、ナイチンゲールは、どう思っているのでしょうか。
フローレンス・ナイチンゲール生誕200年 ナイチンゲールの衛生学
『ナイチンゲールは統計学者だった!-統計の人物と歴史の物語』(丸山 健夫,日科技連出版社)


新型コロナウイルス感染症に関する看護職の相談窓口

 新型コロナウィルス感染症対策に対応する多くの看護師が疲弊する中、日本看護協会が「新型コロナウイルス感染症に関する看護職の相談窓口」を設けました。
対象を、一般人ではなく、看護職としていることが、注目すべき点かと思います。
看護師が独りで頑張らず、様々な専門家が支える協力体制が構築されつつあります。


ウィルスよりも怖いもの

 ウィルスよりも怖いもの・・・日本赤十字社が、「人と人が傷つけあう状況はウイルスよりも恐ろしい」という動画をインターネットで公開し、注目されています。冷静な対応を呼びかけるもので、恐怖というものが、次々を人間同士が傷つけあったり、差別意識を持つことへの警鐘を鳴らす動画です。
過剰な自己防衛本能に、自ら気づき、恐怖を乗り越え、成熟した社会づくりが必要だというメッセージが込められています。



「国際看護師の日」を祝って(5月12日)

(WHO公式サイトHappy international Nurses Dayより翻訳)

2020年5月11日 部門ニュース

 「国際看護師の日」とフローレンス・ナイチンゲール生誕200周年を記念して、世界保健機関(WHO)は、世界中の数百のパートナーと協力して、医療の継続における看護師の重要性に光をあて、その活動に感謝いたします。

 今年のテーマは「世界を健康にする看護を(Nursing the World to Health)」です。歴史的にも現在においても、看護師は感染症やパンデミックと戦う最前線で、質が高く敬意のこもった治療とケアを提供しています。看護師は多くの場合、最初に人々が出会う医療専門家であり、時には人々にとっての唯一の医療専門家となり、最初のアセスメントやケア、処置の質は非常に重要となります。

 看護師は、世界の医療従事者の半数以上を数えますが、世界的に590万人以上の看護師不足が緊急課題となっており、特に中低所得国では深刻です。

 COVID-19のパンデミックは、看護師が果たす重要な役割を思い起こさせるものです。看護師をはじめとする医療従事者がいなければ、私たちはこの戦いに勝つことはできず、また持続可能な開発目標や普遍的な医療保障を達成することもできません。

 「国際看護師の日」にあたり、私たちは各国に対し次のことを要請します。
  • 看護師とすべての医療従事者の職務上の安全と健康、特に安全にケアを提供するため個人用保護具を十分確保し、医療現場での感染症を減らすことができるようにすること
  • メンタルヘルス支援、タイムリーな給与の支払い、病気休暇と保険保障、アウトブレイクを含むすべての健康ニーズに対応するために必要な最新の知見へのアクセスができること
  • COVID-19および将来のアウトブレイクへの対応と制御に必要な財政的支援が保障されること
 本年、看護師と助産師による看護医療においては、より一層の政府による支援と投資が不可欠です。COVID19は、看護師の雇用、教育、リーダーシップへの投資の必要性を強調しています。

 4月、WHOとパートナーは、史上初の「世界の看護現状報告書」を発表しました。これは、世界の看護労働力の現状を報告するだけでなく、私たちが直面している課題の規模を示し、すべての人のための健康を実現するため、看護に財政支援するための実行可能な政策を提供しています。

 看護人材を育成することで、各国は健康状態の改善、男女平等の促進、経済成長の支援というトリプルインパクトを達成することができます。看護の強化は、ジェンダー平等の促進(SDG5)、経済発展への貢献(SDG8)、その他の持続可能な開発目標(SDGs)の支援という更なる利益をもたらすことになります。
(nGlobe訳)



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