ウェビナーの心得(第5回)

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2020/06/27

Webセミナーを開催するとき



現在、世界の動きをみると、web会議システムの急増とともに、web会議やwebセミナーが増えてきました。学会も、web開催が多くなってきています。
私たち研究班やメンバー、周辺の方々も、web開催される学会へ出席する機会が増えてきましたので、講演会や学会をweb開催する主催者側の運用について、お伝えしたいと思います。

1. webセミナーと、そのメリット

 Webセミナーは、今、「ウェビナー」という新たな用語が生まれて、急速な普及が進んでいます。
「ウェビナー」とは、webとセミナーを合わせた造語です。
 Web上でセミナーや学会、イベントなどを開催するため、多くの人々を参集することが可能です。利用するwebアプリの機能が許すならば、その人数に制限はなく、また、参加者は地理的条件に関わらず、インターネット回線があるところからならば、どこにいても、参加することができ、主催者もどこからでも開催することができます。
 そのため、主催者側は、開催するアプリの仕様や、インターネット回線に接続するための通信機器を整えておく必要があります。

2. ウェビナーを開催する主催者側の準備~環境編

 ウェビナーの主催者側も、参加者のマナー以上の準備を整える必要があります。特に、回線は重要です。主催者が、そのセミナーや学会を開いているわけですから、主催者の回線が切断されてしまうと、参加者全員の回線も切断され、その会自体が中断・中止することになってしまいます。主催者として、途中で回線が切断されないこと、これが一番気をつける必要があることでしょう。

 回線が切断されないようにするためには、パソコン1台と1回線では、何らかのトラブルが発生した時に、対応することができません。
 そのためには、使用するパソコンの仕様は、動画を扱っても、動きが遅くならない程度のものが必要です。参加者のマナーとして、パソコンの仕様は、ハイスペック(例えばCPUはCore i5以上、メモリ4GB以上など)のものを、と、お勧めしましたが、主催者側は、メモリ8GB以上にするなど、さらにハイスペックなものが安心できます。

 次に考える必要があるのは、インターネット回線です。つい、契約しているインターネット回線のことを考えがちですが、光回線だったとしても、なぜか接続速度が遅くなる見逃しがちな点があります。
 接続するパソコンと、インターネットの屋内配線が壁面まで来ているジャックとの間のことにも気を配ることが大事です。パソコンとジャックの間には、LANケーブルとルーターが配置されていると思います。使用するLANは、主催者側として切断されないことが最重要ですので、無線ではなく、有線LANケーブルを使用します。このLANケーブルには、通信速度に直結する「カテゴリ」という種類があります。今まで、長年、継続使用してきたインターネット回線で、パソコンだけ新しくしても、ケーブルの種類が古いままだと、速度は遅いままになってしまいます。「カテゴリ5」という種類は、日常に使用するものでしたら、あまり支障はありませんが、ウェビナーを開催するには、速度に不安が残ります。少なくとも、「カテゴリ6」「カテゴリ6A」が良いでしょう。「カテゴリ5」よりも、周波数が2倍以上となり、データ転送量が多くなります。「カテゴリ7」は、もっと通信速度を高速にすることができますが、ルーターや回線の仕様と合わないと、かえって遅くなりますので、確認が必要です。

 次に、ルーターですが、少なくとも通信規格を確認する必要があります。現在は、2.4GHz帯と5GHz帯の2つの周波数帯域が使われており、通信規格は、「11a」「11b」「11g」「11n」「11ac」の5種類があります。2つの周波数帯域で共通なのは、「11n」です。
 現在、普及している機器をみると、障害物に強く、途切れにくい2.4GHz帯は対応機器が多いようですが、逆に、多すぎて、近所の回線と混雑して速度が遅くなる時もあるようです。一方、5GHz帯は、通信速度も速く、電波干渉が少なく通信が安定しているようで、対応機器が徐々に増えていますが、2.4GHz帯の対応機器よりも、障害物に弱い、という特徴があります。現在、市販されているルーターの最新版をみると、「11ac」を備えているものが、半数近くあるようです。
 次の「Wi-Fi 6」という新しい通信規格も出てきており、ウェビナーのような動画を扱う時には、回線や通信機器について、引き続き、注目していく必要がありそうです。

3. ウェビナーを開催する主催者側の準備~通信のバックアップ編

 ウェビナーを開催する場合、回線が断線されない仕様の機器をそろえる必要はありますが、それらをそろえたとしても、その地域の回線そのものが、雷や何らかの事故など、主催者の力が及ばぬところで、通信障害が発生する場合もあります。
 その際も、参加者からみれば、「回線が切れた」状態になります。主催者のパソコンの電源が切れても、雷で回線が断線したとしても、参加者からみれば、同じ現象です。
 まず、主催者は、自分の開催する回線の中で、管理する接続機器を増やし、副回線として準備しておくとよいでしょう。
 さらに、主催者は、自分の管理できる範囲の環境を整えることはもちろん、外部に何かあった場合のトラブルシューティングにも備えておく必要があります。そのためには、自分の回線が断線されたとしても、外部の回線がつながっているよう、補助回線を準備しておくとよいでしょう。主催者がいる地域とは異なる地域の別の人を、副回線として、割り当てておくと、断線しそうな時でも、慌てずに、主回線を副回線に変更して、ウェビナーを継続することができます。
 そのためには、パソコン1台でウェビナーを開催するのではなく、2台以上の複数台で回線を維持し、加えて、別の地域から副回線を開いておく、という2段構えが安全策といえそうです。

 ウェビナーを開催する時の最大のポイントは、回線が切断されて、ウェビナーが中断あるいは中止に追い込まれない準備を整えておくことだと思います。主催者が準備しておく環境やバックアップはいくつも組み合わせがあります。ご自分が開催するウェビナーの種類(セミナーや学会など)とその規模、参加人数にもよりますが、主催者側がバックアップとして準備するPCの台数や回線数、サポート人数との間で、コストパフォーマンスとのバランスを考えて、調整するのが良いようです。


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