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トラブルシューティングなどへのご質問



【質問】
学会や授業などで発表者の音声が急に遅くなったり途切れたりする事例があります。この場合の対処として、まずすべきことはありますか?

【回答】
 考えられる原因は、いくつかありますが、主なものは、通信状況です。今までできていたのに、今急に、ということは、今の段階で、何かの状況が変わった、ととらえることができます。今までできていた、ということは、パソコンやマイクなどのハードウェアが原因とは、考えにくいです。
 常に変化しているものは、通信状況です。

 <対策1> 画像ファイルのデータ容量をコントロールする(事前の準備で防止する)
 オンライン授業などの場合、通信上、常に動画や音声データが流動的に変化しており、スライドなど膨大な画像データを流すと、通信に負荷がかかり、画像や音声の遅延が起こります。特に、最近は、手軽に画像を見せることが可能になったため、スライドのファイル容量を気にせず、共有する方が散見されます。スライドの容量は、なるべく最小限にするよう事前にご準備ください。例えば、パワーポイントでしたら、画像を貼り付けていることが多いのですが、トリミングしたつもりでも、人間には見えていない部分を、データとして保有しています。
 下図のように、ファイルを保存する際、「保存」をクリックする前に、左側にある「ツール」ボタンをクリックし、「画像の圧縮」を選択しましょう。「画像の圧縮」のウィンドウが表示されますので、そこで、「図のトリミング部分を削除する」にチェックを入れた上(最初からチェックが入っているかと思います)、解像度のところで、なるべく解像度が低くなるよう、選択してから、保存しましょう。ただし、どの解像度になるかは、自分の好みですので、どれが一番適切かは、やってみてください。また、解像度をいくつかやってみる際は、必ず元ファイルは残した上で、複製ファイルで、解像度の変更をやってみてください。一度、解像度を低くして保存したファイルは、解像度を上げることができません。元ファイルをそのまま上書きしてしまうと、せっかく作ったファイルが使えなくなりますので、画像の処理は、必ず複製ファイルを作りましょう。

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 このように、事前に画像データ量を小さくしておくことで、音声の遅延や断続を防ぐことができます。

 <対策2>画像データを小さくする(その場でできること)
 音声が遅延したり、断続する時は、画像データを大量に流すなど、通信に負荷がかかり、通信状況が混雑していることが原因と考えられます。
 対策1を行ったにも関わらず、音声が遅延する場合は、画像データを流さない方法があります。オンライン授業や学会は、画像が止まるよりも、音声が止まる方が、そのセクションそのものが進行できなくなってしまいますので、音声のコントロールを最優先にしましょう。
 自分の顔を映す「ビデオ」を停止し、音声だけで通信するようにしてみてください。
 ビデオも流し、容量の大きいスライドファイルや動画ファイルを流すことは、通信に膨大な負荷をかけます。それぞれのデータをなるべく小さくするよう、対策をとりましょう。

 <対策3>通信に負荷をかけない環境を作る(事前の確認)
 開催者側に原因がある場合、通信に負荷がかかり、音声が遅延するということは、その回線を使っている使用者が多いということもあります。例えば、土曜日や日曜日の14~16時くらいは、通信回線が混雑する、というデータもあります。オンライン授業でしたら、同じ回線を使って(例えば同じフロアの教室で、同時にいくつものオンライン授業が開催されているなど)いる状況が考えられます。大学などでしたら、なるべく集中しないよう、開催時間を事前調整するとか、オンライン研修でしたら、曜日や時間帯を工夫するなどして、予防することは可能です。
 ただし、参加者側に原因がある場合は、地域によっても違いますので、この限りではありません。

 <対策4>通信のスペックを見直す(事前の確認)
 通信に負荷がかかって、音声が遅延する場合、通信のスペックが低いことが考えられます。これは、開催中にできることではないのですが、音声の遅延が頻発する場合は、そもそも通信のスペック(契約状況)が、オンライン通信に耐えられないレベルのこともあります。講座内でもご説明しましたが、有線ケーブルにする・有線ケーブルの規格を最新にする・無線の場合はルーターのWi-Fi規格を最新にする、といった対策を取った上で、解決しないようなら、通信の契約状況(職場なら、通信規格)を見直しましょう。



【質問】
ZOOMを使いこなし始めてはいるが、リテラシーが追い付いていないスタッフや参加者による事故を防ぐうえでの注意点(たとえば、参加者全員が写っている画面についてスタッフから、実績報告のための画面のスクショをいきなり申し出られて一瞬言葉を失いました。)

【回答】
 ITリテラシーの習得は、わが国では教育が極めて遅れています。義務教育で始まったばかりですので、新卒の方よりも、むしろ今の現職の方々へのリテラシー教育が必要となるでしょう。新卒が主導するリテラシー研修も企画が必要となりそうです。
 注意点1つ1つを挙げていては、きりがありません。ただの「べからず集」になってしまうからです。ITリテラシー教員のコンテンツは、看護職の倫理教育と共通するものがあります。倫理教育(研修)を、定期的に開催するとともに、その中に、ITリテラシーを入れていくといいかと思います。画面のスクショを言われた方もそうだと思いますが、ITリテラシーの習得が不十分な方は、悪気があってやっているのではないため、その対策は困難です。「べからず集」を示すのは簡単ですが、管理者の安心感につながるだけで、言われた方は、「監督されている」ような感覚になってしまい、余計に事故が起こる可能性もあります。
 そのようなケースの場合は、当面は1つずつその場で丁寧に説明すると同時に、倫理教育を早急に開催されることをお勧めします。その場で説明する場合は、「〇〇してはいけない」という行動レベルで言うのではなく、倫理のどの部分に抵触するのか、その理由をゆっくりと説明するようにしましょう。
 残念ながら、ITリテラシーの習得が不十分のまま、ICTが急速に発展したため、使用する人間が追い付いていないのが現状です。倫理教育(ITリテラシーを含む)は、一度で終わりではありません。時代もICTも、どんどん変化しているため、定期的な開催と、理解度の確認、という双方向のやり取りが必要です。企業によっては、毎月、ITリテラシーや職業倫理の行動レベルについて、報告提出を求めているところもあります。
 医療関係は、倫理が非常に重要ですので、ITリテラシーや職業倫理について、チェックリスト形式でもいいので、毎月報告する、というのを検討してみてはいかがでしょうか。毎月目にする機会があると、自然と禁忌事項も判別できるようになると思います。ご検討ください。

藤田比左子
(千葉大学大学院看護学研究院 付属看護実践・教育・研究共創センター野地研究室 特任教授)



これまで掲載された「ウェビナーの心得」は下記のリンクから閲覧できます。
>>ウェビナーの心得(1〜7回)<<


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