千葉大学看護学部入学から今日まで

看護学部22期生 高橋良幸(老人看護学教育研究分野 助教)

高橋先生 写真

―千葉大学看護学部を目指したきっかけは?
高橋 私は平成8年入学ですが、当時は看護を学べる4年制大学が少なかったこともあり、当初から千葉大学を視野に入れていました。さらに、小さい頃からお世話になっていた病院の先生が「●●さんも△△さんも千葉大学だ。千葉大学の看護師は良いよ」と話す様子から、大学の名前や偏差値ではなく、出身者の「人」が良いと評価されているのならきっと良い大学だろうと考え、それが進路選択の決め手となりました。

―大学時代に印象に残った授業は?
高橋 いくつもありますが、最初の衝撃は薄井坦子先生が担当されていた基礎看護の授業です。ケアの基本、看護の哲学や、人間の存在などについて学んだことが印象に残っています。同級生の中には「看護ってなんだか難しい」という印象をもった人もいたのですが、私は「看護をするにあたり、これが基本であり原則なんだ」と思ったのです。まるで2~3歳の子どもが初めて親から受ける躾のような、その時は何が何だか分からなくても、その後大事なことだったんだと思えるような感覚を覚えました。

高橋先生デスク 写真

―他に大学時代の思い出は?
高橋 実は、千葉大学で、というのはあまりないんです。東京などに積極的に出て、他大学の幅広い年代の方々と交流することが多かったですね。学生向けのセミナーのお手伝いをしたり、企業に勤める青年や偉い方の話を聞くことが楽しみでした。

―なかなか珍しいケースかもしれませんね。
高橋 千葉大学は東京から遠いという人もいますが、私は北海道から出てきたので、むしろ「東京が近い」というイメージだったせいもあるかもしれません。もちろん、遊びだけでなくいろんなことを吸収しました。授業にも真剣に取り組みましたし、研究も実習も何もかもが楽しかったという記憶しかありませんね。

―卒業後はどうされたのですか?
高橋 慢性疾患の病棟で3年、看護師として現場に立ちました。糖尿病や循環器、脳神経系などの患者さんに接したことがきっかけで、もう少し慢性疾患看護の研究をしたいと思い大学院に進学しました。修士では糖尿病の予防とケアを研究し、現在はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの慢性呼吸器疾患の看護について研究を進めています。

研究発表 写真2013年タイバンコクで研究発表

―特に呼吸器疾患というのは重いイメージがあります。
高橋 回復が十分に見込めない呼吸器系の病気では、患者様ができることが病気によってどんどん奪われていきます。たとえ回復が望めない病気だとしても、患者様本人が幸せを感じて生きることは、きっとできるはずなのです。そうした療養生活において、看護師がどのようなお手伝いができるのか?なかなか答えがでることではありませんが、追求していこうと考えています。

―教員になったきっかけは?
高橋 平成17年にお声がけいただいたのがきっかけです。正直、とまどいの気持ちもありました。千葉大学看護学部というのがどんな場所で、どれだけ素晴らしい先生がいて、どのくらい大変な努力をされているのか、間近で見てひしひしと感じていたからです。けれども、こうした機会はなかなかないし、飛びこんでみることにしました。

―教員生活についても教えてください。
高橋 それまではレールの上を歩いているような人生でしたが、今は道なき道を進んでいるような感覚ですね。私は解決できたことにはあまり興味が湧かないタイプなので、常に新しい課題にチャレンジできる今の立場はありがたいです。

北京大学構内にあるホテル兼レストランで 写真北京大学構内にある
ホテル兼レストランで

―臨床の現場とは全く違うものですか?
高橋 違います。看護師時代はチームであり、自分の仕事をきちんとこなせば良くて、25人チームなら1/25の責任でした。今は、自分でやることに全ての責任があるので、管理も社会性も求められる。研究費を獲得するために戦略も練らなくてはなりません。むしろ研究ひとすじとは行かないのかもしれないですね。

―そんな高橋先生が今の学生にひと言申すとしたら?
高橋 「目の前に現れた楽しいことを、とことん追求しよう」ということでしょうか。理想を描いて、そこに向かって努力するのも良いのですが、医療はどんどん変化しています。理想を描いている間に制度も環境も医療技術も変わってしまうかもしれません。何かにこだわるよりも、目の前の「コレだ」というものをつかんで、追いかけて欲しいですね。

高橋先生 写真

―先生から見た千葉大学とは?
高橋 非常に魅力的で能力が高いと思いますが、周囲にはわかりにくい部分もあるかもしれません。悪く言えば地味に見えることもありますが、みなさんとても大切な凄い事をしていると思います。よもやまマニアのように思われがちですが、それは決して悪い意味ではありません。流行にも目を向けつつ本質を追求している、いわば玄人集団だと思います。

―千葉大学を目指す人にメッセージを
高橋 千葉大学は高いレベルの教育や研究をしている大学ですが、ここは地方から来た人でも住みやすい土地です。「千葉大でもいい」「千葉大しかなかった」というネガティブな気持ちではなく、堂々と千葉大学を目指してきてほしいと思います。

オープンキャンパス 写真
オープンキャンパスに訪れた高校生に熱弁!

取材日2013.6.19

その他のメッセージ