千葉大学看護学部入学から今日まで

看護学部30期生 渡邉賢治(老人看護学教育研究分野 博士前期課程1年)

渡邉さん 写真

―男性で看護学部というのは珍しいと思うのですが?
渡邉 高校生の頃から医療系の仕事をしたいと考えていました。何も調べないまま、漠然と医療=医学部なのかな、と思っていました。でもあるとき、「看護というのは、導くのではなく人を支える仕事です」という言葉を聞き、「これだ!」と、稲妻が落ちたような衝撃を受けたのです。そこで、はっきりと自分の目指すべき道は看護学だ、と思うようになりました。

―千葉大学を選択した理由は?
渡邉 看護学を志すようになって、看護にまつわる書籍や雑誌を読むようになりました。すると、寄稿している方の多くが「千葉大学看護学部」の先生なんですね。「千葉大学の看護学ってスゴいんだな」と思うようになり、そのまま自然と千葉大学を選択することになりました。

男子学生の専用部屋のデスク 写真男子学生の専用部屋のデスクで

―実際に入学してからはいかがでしたか?
渡邉 実は……看護学という学問を目指そうと思っていたのですが、看護学部=看護師ということまであまり思い至ってなかったのです。同級生80人のうち、男性はたった5人。入学して女性が多いことにもびっくりしましたし、「そうか、看護師になれるんだ」とやっと気づきました(笑) もうひとつびっくりしたのは、社会人入試で入学される方が多いこと、そしてその方たちのキャリアがすごいことです。学問として看護学が魅力的であるとともに「看護学を突き進めることで医療界を変えることができるのだ」という意識の高さにも触れることができました。

研究発表 写真研究発表

―念願の看護学部で特に心に残った授業は?
渡邉 1年次の山本利江先生の基礎看護学の授業です。「病を病変から見るのではなく、統一体としてその人を見る」という先生の言葉に感激し、共感しました。この道を選んで、千葉大学を選んでよかった、と思いました。

―学問として看護学を目指されたということは、実習はつらかったのでは?
渡邉 そんなことはありません。実習は机の上で学んだことを現場で実感できますので、さらに理解が深まります。さまざまな体験をした後に先生方と話すことで、絡んだ疑問が解きほぐされて目の前が開けるような感覚も覚えました。

渡邉さん 写真

―男性が少ない学部ですが、たいへんなことはありましたか?
渡邉 人数が少ないことでのデメリットはあまり感じなかったですね。男子学生の専用部屋があって、そこでは学年関係なしにいろんな話をしました。99%バカな話ばっかりなんですけど、1%くらいは真剣な話もして、それが良かったです。

―卒業後は附属病院で臨床を経験されたそうですね。
渡邉 ひとりの看護師として現場に立つという経験は、衝撃でしたね。一つひとつの局面で、判断が迫られる。責任の重い仕事だと思いましたし、患者さんと心を通わすことができる素晴らしさを経験することができました。僕は、慢性期医療のなかでも難病看護を専門にしています。治療が難しい患者さんには「自分らしく生きていたい」という気持ちがあります。そして、そこに寄り添うことが看護であり医療なのだ、と改めて感じました。

もちろん、臨床現場は毎日がスムーズなわけではなく、壁を感じたり悩んだりすることもありました。でも、大学が近くにあることで先生に相談ができたり、同じく千葉大学看護学部から実習に来る学生と接することで、乗り越えることができたなと思います。

―大学院に戻られた感想を教えてください。
渡邉 看護学部の大学院は、授業のカリキュラム自体がしっかりしており、先生と密に関わることができるのですが、やはり自分で研究を進めなければならないので、重みが違うなと感じています。でも、文献研究ひとつを取ってみても、その著者が学部内にいる、という環境のよさは改めて素晴らしいと感じています。これは看護学部だけでなく、社会学や心理学、哲学、その他の学問すべてにおける千葉大学の素晴らしさですね。

大学院生の仲間 写真大学院生の仲間と

―総合大学ならではの魅力ですね。
渡邉 医療系3学部(看護学部、医学部、薬学部)の「チーム医療」でも、それぞれの立場でもって話を深めることができるのですが、医療系学部以外の人との交流もとても刺激になります。先日、工学部の友人がさらりと口にしたことが、看護学の教科書に書いてあることでした。驚くとともに、各々専門性はあるものの、学問は有機的につながっているのだな、と実感しました。そういう意味でも、医療専門ではない、総合大学である千葉大学で学ぶというメリットの大きさを感じています。各学部の教授陣はその世界を牽引しているような方ばかりです。自分の専門の学問を究めるだけでなく、他の学問からの気づき、刺激が多い環境だと思います。

ソーラーデカスロン 写真ソーラーデカスロン(スペイン)

―他学部との交流といえば、ソーラーデカスロンにも参加されたとか?
渡邉 はい、プロジェクトに参加して、40日間スペインに行ってきました。工学、理学、園芸、教育、看護と違う分野の学生がひとつにまとまって、各々の専門性と力を出しながら、目標に向かって行動するというのは、総合大学ならではですよね。

―これから千葉大学看護学部を目指す人にアドバイスを。
渡邉 どんな学問も、追求し続けるためにはパッションが重要です。僕は、学問とは究極的に突き詰めると「人」の生活を豊かにするためのものなのだと思っています。看護学はまさに、そんな「人」の生活に関わる学問であり、追求することができフィールドが千葉大学にはあります。パッションを持って、熱を帯びて、自分と周囲の人生を輝かせるために、ぜひ千葉大学の門を叩いてみてください。

家族とともに 写真
家族とともに

取材日2013.3.16

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