研究|サブプロジェクト
サブプロジェクト| A | B | C | D | E | F | G |

サブプロジェクトA:日本型対人援助関係

1.目的

2.研究組織(平成17年度)

3.平成17年度までの研究成果の要約

4.主要な研究業績


1.目的

 本サブプロジェクトでは、看護実践の展開における対人援助関係について、@危機的状態にある対象者、A日常生活行動上の改善を要するが切迫感を抱きにくい対象者、B精神障害をもちながら生活する対象者について、それぞれの対象者の特性に応じた関係の築き方や看護の関わり方を文化の視点を含めて分析し、看護実践モデルや対人援助モデルを創出し、検証していくことを目的としている。

2.研究組織(平成17年度)

 前述の@〜Bの対象者の特性に応じて、研究班を3班に分け、研究を進めていくと共に、研究の進捗状況や成果について、合同会議を持ち、意見交換を行った。

リーダー: 正木治恵
サブリーダー: 岩楓生・眞嶋朋子
(1)成人看護学グループ: 眞嶋朋子・佐藤まゆみ・増島麻里子・柴田純子・神間洋子・長坂育代
(2)老人看護学グループ: 正木治恵・清水安子・田所良之・黒田久美子・菅谷綾子・谷本真理子
榎元美紀代・瀬戸奈津子・斎藤しのぶ
(3)精神看護学グループ: 岩楓生・野撫ヘ子・遠藤淑美・松岡純子・水信早紀子・石川かおり

 現在、以下の研究テーマに取り組んでいる。

テーマ1: 質的メタ分析方法(メタ統合)に関する文献検討と質的研究論文の評価基準
テーマ2: 危機的状態にあるがん患者が安寧に至ることを促す看護援助
テーマ3: 日常生活行動上の改善を要するが切迫感を抱きにくい対象者との対人援助関係
テーマ4: 対人援助に関する精神科看護師の実践知
テーマ5: 精神障害者の地域生活を支える看護における対人援助
テーマ6: 看護ケアを捉える文化の視点の抽出

3.平成17年度までの研究成果の要約

 各テーマの研究成果の概要は次の通りである。

テーマ1: 各研究班の看護実践モデルの創出に、検討したメタ統合の手法を用いた。メタ統合の手法ならびに質的研究論文評価フォーマットは検討段階を終了し、現在活用中である。
テーマ2: 当研究科における博士論文の質的研究成果を統合し、危機的状態にあるがん患者が安寧に至ることを促す看護援助について明らかにした。
テーマ3: 日常生活上の改善を要するが切迫感を抱きにくい成人・老人患者に対して看護師が用いている対人援助技術を、国内の質的研究論文の記述から明らかにした。
テーマ4: 精神障害をもつ人を対象とした対人援助関係について、実践知の観点から理論的な枠組みを開発することを目的に、実践知の抽出、介入モデルの開発段階に至った。
テーマ5: 当研究科における修士論文・博士論文に関する原著論文のメタ統合から、日本型対人援助関係の実践知の抽出・統合のための理論的分析枠組みを構築した。
テーマ6: 海外文献(英語論文)から看護ケアを捉える文化の視点を導き出し,文化的枠組みとして構築した。

研究班の一つである、精神看護学グループの研究成果の報告を以下に紹介する。

当グループでは、これまでのところ、主に先行研究のメタ統合および聞き取り調査を実施し、精神看護において基盤となる実践知の抽出と集積に取り組んできました。
精神障害者を対象とした患者−看護師関係における援助に関して先行研究のメタ統合から抽出した実践知と、精神科看護師への聞き取り調査から抽出した精神看護臨床における実践知を比較検討し、各々の実践知は部分的に共通することが示唆されました。また、デンマークの看護師を対象とした聞き取り調査から、デンマークにおける地域精神看護の実践知を抽出し、日本の地域精神看護との比較検討から、両国間の看護の違いと各々の特徴についての示唆を得ました。さらに、H15-16年度に実施した先行研究のメタ統合と聞き取り調査から得られた実践知を統合し、地域生活を支えるためのセルフマネジメントに着目した援助モデルを考案してケーススタディを実施し、モデルの検証にも取り組んでいるところです。今後は各研究で得られた実践知の更なる統合を試み、精神看護における対人援助モデルの作成と検証を進めていく予定です。

4.主要な研究業績

投稿論文

1.石川かおり,岩楓生:地域で生活する精神障害者を対象とした対人援助方法に関する文献研究.千葉看護学会会誌,10(2),8-16,2004.
2.正木治恵、清水安子、田所良之、谷本真理子、斉藤しのぶ、菅谷綾子、榎元美紀代、黒田久美子:「日本型対人援助関係の実践知の抽出・統合」のための理論的分析枠組みの構築.千葉看護学会会誌,11(1),55-62,2005.
3.田所良之,菅谷綾子,榎元美紀代,清水安子,正木治恵:日常生活上の改善を要するが切迫感を抱きにくい対象者への対人援助技術−国内文献にみられる知見の統合−.千葉看護学会誌,11(2),39-47,2005.
4.瀬戸奈津子、山本郁子、岡崎優子、岡田ゆかり、河井伸子、坂井さゆり、森小津恵、清水安子、正木治恵:看護ケアを捉える文化的枠組みの構築−海外文献による文化的視点の明確化−.千葉看護学会誌,12(1),65-70,2006.
5.野撫ヘ子,岩楓生,遠藤淑美:精神障害を持つ人への対人援助−患者-看護師関係の構築と発展に焦点を当てて−.千葉看護学会誌,12(1),108-111,2006.


学会発表等

1.石川かおり,岩楓生:地域で生活する精神障害者のセルフマネジメント(自己管理)とその関連要因.日本精神衛生学会創立20周年記念大会プログラム・発表抄録集,23,2004.
2.野撫ヘ子,岩楓生,遠藤淑美,松岡純子,水信早紀子:精神障害と向き合って生活しなければならない人への援助―患者-看護師関係の構築と発展について―.千葉看護学会第11回学術集会集録,37,2005.
3.松岡純子,岩楓生,石川かおり,荻野雅,野撫ヘ子:デンマークにおける精神障害者の主体性を維持しながら行う地域精神看護援助.第25回日本看護科学学会学術集会講演集,299,2005.
4.石川かおり,岩楓生,松岡純子,野崎章子:精神疾患を持つ人の地域生活におけるセルフマネジメント上の課題.第25回日本看護科学学会学術集会講演集,168,2005.
5.石川かおり,岩楓生:統合失調症をもつ人のセルフマネジメントに焦点をあてた看護援助―病院から地域への移行期における1事例の検討から―.第21回日本精神衛生学会大会発表論文集,50,2005.
6.野撫ヘ子,岩楓生:精神科看護師の臨床知識に関する研究―精神科看護のコツに焦点を当てて―,現代医療研究会U11月例会発表資料集,10-18,2005.
7.Harue Masaki, Yasuko Shimizu, Yoshiyuki Tadokoro, Mariko Tanimoto, KumikoKuroda:Meta-synthesis of Clinical Knowledge of Interpersonal Nursing Practice in Japan. 28th International Association for Human Caring Conference, 2006, Australia.
8.Natsuko Seto, Yasuko Shimizu, Harue Masaki: Evaluation index of practical ability for Diabetes Care: The clinical knowledge of interpersonal relationship in Japanese nursing. 28th International Association for Human Caring Conference, 2006, Australia.
9.Michiko Ito, Tomoko Majima, Mayumi Sato, Mariko Masujima, Junko Shibata, Yoko Kamma, Mariko Kuwabara, Noriko Akimoto, Jun Kataoka, Toshiko Konishi, Qualitative meta-study of relationship between nurses and cancer patients in Japan, 28th International Association for Human Caring Conference, 2005, USA.
10.Mariko Masujima, Tomoko Majima, Mayumi Sato, Junko Shibata, Ikuyo Nagasaka, Yoko Kamma, Jun Kataoka, Toshiko Konishi: Nursing intervention for cancer patients to overcome a critical situation and become well, 14th International
Conference on Cancer Nursing, 2006, USA

ページのトップへ
Copyright(C)2006千葉大学 21世紀COEプログラム. All rights reserved.