エンド・オブ・ライフケア看護学への千葉大学の取組

生きるを考える/2011年度

普遍教育「生きるを考える」第14回の様子

福祉施設での看取りを考えるエンド・オブ・ライフケア

[日程]平成24年1月24日 III時限/12:50〜14:20(場所 B)
[講師]川崎 千鶴子(北区特養みずべの苑:施設長・看護師)

  • 講義の様子
    講義の様子
  • 川崎 千鶴子先生
    川崎 千鶴子先生

受講生の感想

第14回目の講義は、特別養護老人ホーム施設長の川崎千鶴子先生。

まず、特別養護老人ホームという施設及び施設でのケアについての説明がありました。看護師でもある川崎先生の提示されるケアの視点は明確で、施設ケアは「生活」を捉えること、その「生活」は特別な事件(転倒等)を回避し、平穏に自身のあるべき状態を続けることで、目標は自然な生活を維持すること。生活の維持の最後の到達点は、穏やかな老衰死であると示されました。

また、施設での「ターミナル」の意味は、生活をするのが無理だなという時期、すなわち衰えが明らかになった時期から始まる。そして、看取りは特別な始まりではなく、生活の中にあり、本人と共に「支える」ことであり、「とも揺れ」が常にあることである。生活を支えるケアは臨終で完了する。川崎先生は、102歳の方の事例から、100年を生きる重みを人生の大先輩から教えて頂いたと述べられた。

次の96歳で亡くなられた方の事例から、施設の看取りの特徴は、時間のゆとりがあること、見知った人たちが取り囲み時間を過ごすし、双方の関係が効果を発して穏やかな時間を過ごすことができ、医療者は「自然」を維持するために努力することになるとまとめられました。

更に、介護職の不安と迷いの例を挙げ、「ご家族が臨終に間に合わなかったらどうしよう…」ということに対しては、ご本人が最後にいて欲しい人を選んでいるように思えると肯定的に捉えていると話された。

まとめとして、施設は生活を継続さる場であり、生活を支えるにはチームケア、介護と看護の連携プレーが必要であり、施設のターミナルケアは生活支援そのものであると話されました。

最期に、お別れするのはとても寂しいことであり、家族も職員も虚脱感や喪失感をもつが心のけじめをつけなくてはならず、通夜等に行きけじめをつけ次のステップに進んでいるとまとめられた。

今回の感想としては、福祉施設での看取りはとても丁寧な看護が実践されていると思えたことが良かった。ただ、このような施設数は入所を希望している人に比べて不足していることを改善する必要があると思えました。

また、スタッフの虚無感、喪失感に対する対応について、「心のけじめをつけなくてはならない」、「セレモニー(通夜等の)でけじめをつける」、「人間と人間のけじめをつけると次のステップに進める」という川崎先生の言葉が印象的でした。これらは、施設看護において日常において、死は特別なことではなく「自然」であると捉える視点に立つことができるとそう考えることができるのだろうと思いました。