エンド・オブ・ライフケア看護学への千葉大学の取組

生きるを考える/2011年度

普遍教育「生きるを考える」第5回の様子

がん患者と家族を中心としたエンド・オブ・ライフケア

[日程]平成23年11月1日 III時限/12:50〜14:20(場所 B)
[講師]櫻井 智穂子(千葉大学 特任講師)

  • 講義の様子
    講義の様子
  • 櫻井 智穂子先生
    櫻井 智穂子先生

受講生の感想

櫻井先生の講義は、はじめに日本におけるがんの現状とその取組についての説明がありました。現在は、平成19年から5年計画で施行されたがん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画が実施されており、昨年中間報告がなされ重点的に取り組む課題として、放射線療法及び化学療法の推進並びにこれらを専門的に行う医師等の育成、治療の初期段階からの緩和ケアの実施、がん登録の推進の3点が示されていることを知りました。

次に、臨床における患者さんとその家族に対する看護のうち、余命の告知に焦点を当てた看護研究の例が示されました。終末期のがん患者と家族の在宅療養に関わる意思決定においては次の4点が結論づけられていました。共に患者にとっての有意義な生き方を第一とする。患者は、自分を思う家族に配慮し、その意思を尊重しつつ家族全体にとって最良の療養方法を選ぶ、家族は、患者の命が永らえることを望みながら可能な限り患者の希望を優先しようと努める、紆余曲折があっても結果としてお互いにとって満足のいく決定を行う。

最後に、患者と家族を中心としたエンド・オブ・ライフケアに大切なこととして、患者と家族の主体な力を信じ支えていく、患者と家族がとことん話し合う機会を持つ、患者と家族ができる限り共に過ごし心を通わせ合う、患者と家族が医療職者をはじめとする他者との結びつきを維持する、この4点を挙げられました。

感想としては、櫻井先生が講義の中で話しておられた、患者に病状を知ってもらった上で治療を選択して貰えたら、患者にとってやさしい治療が行われるようになるのではないかという言葉が印象に残りました。これは臨床で終末期の患者さんを看護している看護師の願いの様に思えました。人が人生の中で自分自身の健康に関する嬉しくない話を聞いて対応する時にどのような判断基準や価値観を持って対処するのか、そのことを広い視野で柔軟に支援するのがエンド・オブ・ライフケア看護の重要な点なのだと思いました。