エンド・オブ・ライフケア看護学への千葉大学の取組

講座について

教員紹介 / 櫻井智穂子(特任講師)

講座の開設にあたって

患者と家族を中心としたエンド・オブ・ライフケア

櫻井智穂子(特任講師)
特任講師 櫻井智穂子

エンド・オブ・ライフとは、病気が進行した結果としての人生の終わりという悲壮感のあるものだけでなく、もっと広い意味での人生の終わりを指していると思います。エンド・オブ・ライフには、生あるものに全て平等に訪れる、ごく自然で穏やかな、比較的長期に渡る成り行きの結果としての終焉が含まれていると考えます。そして、エンド・オブ・ライフケアは、人生の終わりに近付いていく人々だけでなく、その人々を支える家族に対しても行われるものであろうと考えています。突然の死や、重い病気の子供の命の終わり等であれば、エンド・オブ・ライフケアは、家族へのケアという意味合いが更に強まるであろうと思います。

エンド・オブ・ライフには、その人がそれまでどのようなことを大切にしてどのように生きてきたか、が如実に現れるものであり、その人らしさが浮き彫りにされるのではないかと思います。ですので、エンド・オブ・ライフケアには、その人がどうありたいか、どのように自分の人生を生ききりたいか、その人の意思が活かされるような支援が含まれることが重要であると考えています。

これまで私は、がんの終末期の患者と家族への看護について学んでまいりました。その中でも特に、闘病生活の末に病気の治癒が見込めなくなり自分の余命が短いということに初めて気付かされた患者とその家族の、余生を今後どこでどのように過ごしていくのか、という意思決定を支えることを中心とした看護援助について探求し続けております。そして、最終的には、病気の終末期にある患者とその家族が、自ら決断した療養方法で、残りの人生をできる限り有意義に過ごしていけるための有用な支援方法を明示することを目的としています。

今後は、

1、 がんの人々とともに、がん以外の疾患をもつ人々や、認知症の症状のある高齢者等、意思決定の困難な状況にある人々とそのご家族へのエンド・オブ・ライフケアと支援体制

2、 独居等で家族の支援が得られない、あるいは経済的に必要な医療やケアが受けられない、社会的に困難のある人々へのエンド・オブ・ライフケアと支援体制

3、 エンド・オブ・ライフケアに携わる人々のための継続教育と支援体制について考え具現化していくこと

が課題だと思っています。

略歴

氏名
櫻井 智穂子(さくらい ちほこ)
職名
特任講師
学位
博士(看護学)
所属研究室
エンド・オブ・ライフケア看護学(内線番号:5837)
部屋番号
336
担当科目学部
エンド・オブ・ライフケア看護実践論、生きるを考える(普遍教育)
大学院
エンド・オブ・ライフケア看護学Ⅰ
研究テーマ
終末期の緩和を目的とした療養についての患者と家族の決断を支える看護援助に関する研究
研究業績
  • 櫻井智穂子:終末期の緩和を目的とした療養への移行におけるがん患者と家族の決断の“ゆれ”を支える看護援助に関する研究.千葉大学看護学研究科博士論文,2010
  • 柴田純子, 佐藤まゆみ, 増島麻里子, 泰圓澄洋子, 眞嶋朋子, 櫻井智穂子, 小坂美智代:日本における終末期がん患者を抱える家族員の体験.千葉看護学会会誌,16巻2号 19-26,2011
  • 眞嶋朋子, 佐藤まゆみ, 増島麻里子, 柴田純子, 神間洋子, 櫻井智穂子, 小坂美智代, 伊藤道子, 本田彰子:メタ統合で明らかになった終末期がん患者を抱える家族員の体験.看護研究,41巻5号,395-401,2008
  • Mariko M., Ikuyo N., Mayumi S., Tomoko M., Junko S., Yoko K., Chihoko S., Junko F., Yuko S., Naoko K.: Nursing intervention model for practice based on the experience of Japanese cancer patients at the end-of-life. 15th International Conference on Cancer Nursing, 2008
  • Chihoko Sakurai, Midori Nagano, Tomoe Ebata, Yasuko Ogata, Megumi Teshima, Naoko Yamada, Chiaki Mukai, Keiko Tokunaga, Takehiko Ohura: Method of In-Service Education on Pressure Ulcers in Hospitals, WOCN SOCIETY 38th ANNUAL CONFERENCE, 2006
所属学会
日本看護研究学会
日本看護科学学会
日本がん看護学会
千葉看護学会
文化看護学会
日本緩和医療学会