エンド・オブ・ライフケア看護学への千葉大学の取組

生きるを考える/2011年度

普遍教育「生きるを考える」第12回の様子

健康と病の語りデータベースとは ―病を生きる人々の語り―

[日程]平成23年12月20日 III時限/12:50〜14:20(場所 B)
[講師]射場典子(NPO法人健康と病いの語り ディペックス・ジャパン理事)

  • 講義の様子
    講義の様子
  • 射場 典子先生
    射場 典子先生

受講生の感想

ディペックスというウェブサイトがあることを初めて知って、よき学びの場となりました。実体験をインターネットで誰でもいつでも見られるということは、患者さんやその家族、医療関係者、さまざまな人たちにとって参考になります。まだ自分は病気にかかっていないけど、今後発症したときに、このサイトの存在を知っていたら、きっと助けを求めるだろうし、良いネットワークになると思います。

自分や家族が癌になってしまった時だけでなく、早期発見にも非常に役に立つサイトだと感じました。

今までの授業は主に看護する立場の方々の目線に立つものが多かったのですが、今回の授業は患者さんの目線に立つものでしたので新鮮だったし、とてもリアルに感じることができました。特に、映像は印象に残っています。

実際の患者さんの話を聞いて、まず、涙が出ました。つらい体験を他者へ語ることはとてもつらい、けれども、大変価値のある尊い行動だと感じました。なぜなら、人の心を動かすことができるからです。もし、自分が大変つらい体験をし、その体験を語ることに価値を見出すことができたら、他者のために(結果として自分のためになったとしても)シェアしたいと強く感じました。

がん患者さんには、自身のこれからの将来、どのような症状が出てくるのか、抗がん剤は自分にあっているのか、など不安がたくさんあると思います。がんに対して直接的な、物理的な治療はもちろん必要ですが、それらに加えて患者さんの精神面を支えるものも大切だと私は考えていました。その役目を、ディペックスは果たしていると思います。したがって、私はディペックスのウェブページをがんにかかった家族や友人に勧めます。

乳がんの患者の人たちのインタビューがとても印象に残っています。もし癌になったらどうなるというのは、実際の体験者の話を聞くと想像していたものとはかなり現実は違うことが分かりました。治療方法の選択や治療後の生活の変化などいろいろ悩むことがあって、また同じ悩みについても人によって全く考え方が違うので、いろいろな観点から癌という病気は人にどういった障害をもたらすのかということが理解できました。体験者と同じ癌になったらきっと同じような悩みがでてくるのだろうから、そのときかなり心の支えになると思います。医者に聞いても患者にしかわからない悩みなどもあると思いました。そのような同じ悩みを患者同士がお互いを助け合って共有していける、この病の語りは本当にすばらしいと感動しました。さらに、患者だけではなくその患者の家族の語りもあって、悩んでいるのは家族も一緒なのだから、そういうところも考慮してくれているところもとても良いと思いました。

射場さんご自身の経験から、語りデータベースの活動をはじめたということを聞き、とても共感致しました。病気が分かったとき、いきなり患者会には行きづらいだろうし、どのようなことから相談をしたらよいのかわからないと思います。また、他の人の生の声を聞きたい、というのもニーズに合っている気がしました。