エンド・オブ・ライフケア看護学への千葉大学の取組

生きるを考える/2012年度

普遍教育「生きるを考える」第7回の様子

生きるを考える~哲学・宗教学の立場から~

[日程]平成24年11月13日 III時限/12:50〜14:20(総合校舎B号館)
[講師]アルフォンス・デーケン(上智大学 名誉教授)

  • 講義の様子
    講義の様子
  • アルフォンス・デーケン先生
    アルフォンス・デーケン先生

受講生の感想1

これまでの講義で、患者さんの家族に対してもケアを行うことを学びました。その中で私は、患者さんの家族の悲嘆はあまりよくないことであり、早く立ち直れるように援助することが大切なのだと考えていました。しかし、今回の講義を受け、悲嘆のプロセスはむしろ大切なことだということを知りました。喪失体験や悲嘆は、積極的努力によって立ち直るだけでなく人格成長の機会である、ということが印象に残っています。
悲嘆が大切なことであるとは言っても、プロセスの途中で自殺を図ったりする場合もあります。それをいかに防ぐか、患者さんや大切な人を亡くした家族に対するスピリチュアルケアにおいてのユーモア感覚の必要性も学びました。ユーモアは相手に対する思いやりの現われだということでしたが、現在の私のままではユーモアのつもりでもジョークになってしまうことが多々あるでしょう。先生が講義中に「なにもデーケン(できない)」とおっしゃっていました。そのようなユーモアを会話中にちょっとだせるようになれば、患者さんや家族の悲嘆や緊張を少しでも和らげられるのではないかと思いました。 末期患者さんに対するスピリチュアルケアに求められる態度として、傾聴や相手の尊重、個々のニーズの理解のほかに、ユーモアというものを意識していこうと考えました。

受講生の感想2

デーケン先生のユーモア溢れる語りは、とても魅力的なものでした。講義の中で、国民性を風刺した「象」のユーモアのお話しをして頂きました。「象」と聞いた時に国によって人々がどのような反応を示すか、という内容のものです。それぞれの国の特徴を良く捉えていて、思わず吹き出してしまいました。
このようなユーモアのお話を、私は以前にも聞いた事があります。「青いキリン」のお話や、「沈む船」のお話です。例えば「青いキリン」は、ある大富豪が「青いキリンを捕まえた者に賞金を出す」と世界に呼びかけた時に、アメリカ人は冒険家を組織しジャングルへ向かい、イギリス人は生息地を割り出すための会議を開き、日本人は遺伝子操作の研究を始め、中国人は青いペンキを買いに行った、という内容です。このようなユーモアのお話には、煌く知性を感じます。また、笑う事で病気の治癒が早まった、という研究もあるとの事だったので、私も頭を働かせ、人を楽しませられるような日常に潜むユーモアを発見していきたいと思いました。
「ユーモアは愛と思いやりの表れであり、張り詰めた空気をほぐす魔法」という言葉、そして「苦しい経験からこそ、人に優しくなれる可能性がある」という言葉を心に留め、温かいユーモアを発信していけるよう意識しながら、また相手の気持ちに寄り添い、傾聴する姿勢を保ちながら、これからの日々を生きていきたいと思います。