エンド・オブ・ライフケア看護学への千葉大学の取組

生きるを考える/2012年度

普遍教育「生きるを考える」第8回の様子

在宅緩和ケアにおけるエンド・オブ・ライフケアの意味

[日程]平成24年11月20日 III時限/12:50〜14:20(総合校舎B号館)
[講師]大岩 孝司(さくさべ坂通り診療所 院長)

  • 講義の様子
    講義の様子
  • 大岩 孝司先生
    大岩 孝司先生

受講生の感想1

今までの講義の中でも、終末期緩和医療において患者さんの希望を叶えることの必要性が頻繁にでてきました。しかし私は、希望を叶えるといっても、残念ながらかなり制限されてしまうだろうと思っていました。今回の講義で、水ではなく氷水が飲みたい、といった患者さんのように、厳しい状態におかれた人はあまり途方もないことは言わないと知り、終末期の患者さんの精神の状態は現在の私とは異なる、ということを感じました。終末期の患者さん同士でさえも望みや辛さは一人ひとり異なります。看護する側の人間がその望みや辛さを完璧に推測することはなおさら難しいのだろうと思いました。だからこそ、患者さんの望みに応じること、最後まで求めることができるような医療・ケアの提供が大切になってくると思いました。
今回の講義で印象に残ったことは、同じ痛みでも状況によって感じ方が変わるということです。痛みに対する情動は、自分も普段体験しているはずなのに、改めて言われると不思議な感じがしました。また、ある治療に見切りをつけ、治らないことを受けとめたらがんの痛みが取れた、ということがあると知り、患者さんが自分自身の状況を受け入れられるようにサポートしていくことも医療の一環であるように思いました。

受講生の感想2

高齢化が進む現代社会において、在宅でのケアはますます重要になっていくと考えられます。患者さんとその家族に近い位置で寄り添いながらケアを実践している大岩先生のお話は、疾患の治癒が目標にならない医療に何が出来るか、という事に関して考えていくうえでとても参考になるものでした。
「患者さんの小さな願いをいちいち叶えようとするなんて、患者さんのわがままを聞いているだけだ」と考えてしまいがちですが、患者さんが満足して幸福な気持ちで最期を迎えられるようサポートするためには、患者さんの切なる願いに耳を傾ける事が必要だと、この授業を通して考えられるようになりました。
癌はひどい痛みを伴うものとして恐れられていますが、痛みは精神面の影響が大きく、周囲の人々が患者さんの心からの声を聞こうとする姿勢で向き合う事、そして患者さん自身が病気をきちんと理解し受けとめる事で、痛みが緩和されうることがわかりました。
病は気からといいますが、それは事実であり、いかに患者さんが病気に向き合い病気を受けとめていけるか、またその実現に向けて医療者が支援を行っていけるかが、緩和ケアにおいて重要な点である事を学びました。この学びを心に留め、よりよい看護の実践について考えていきたいです。