論文・著書・発表

2010年

【原 著】

1.岡田忍,玉木由子,中川朋子,西尾淳子:2週間頻回交換型ソフトコンタクトレンズの細菌学的汚染と管理方法との関連について-ケースを乾燥させることの重要性-.千大看紀要,32,1−8,2010.

2.Igari H, Segawa S, Watanabe A, Suzuki A, Watanabe M, Sakurai T, Kuroda F, Watanabe M, Tatsumi K, Nakayama M, Nakayama T, Suzuki K, Sato T: Immunogenicity of a monovalent pandemic influenza A H1N1 vaccine in health-care workers of a university hospital in Japan. Microbiol Immunol 54(10), 618-24, 2010.

【学会発表抄録】

3.鈴木明子,梅野恵,千葉均,西尾淳子,岡田忍,佐藤武幸:院内使用PHSの細菌学的汚染調査.環境感染学会,25 Supplement,264,2010.

4.小川俊子,井上有理,西尾淳子,岡田忍:食用油の塗布による口腔水分量の変化および使用感について.老年歯科医学,25(2) 189−190,2010.

5.小川俊子,慶野江美,西尾淳子,岡田忍:在宅介護を受けている高齢者にゴマ油を使用した口腔ケアの実践報告.老年歯科医学,25(2) 190,2010.

6.小川俊子,西尾淳子,岡田忍:ゴマ油のCandida albicansに対する増殖抑制効果の検討.第59回日本感染症学会東日本地方学術集会・第57回日本化学療法学会東日本支部総会・合同学会プログラム・抄録集,143,2010.

7.張平平,岡田忍:看護分野におけるサーモグラフの活用状況−文献レビューを通して−.第30回日本看護科学学会学術集会講演集,528,2010.

【総説・短報・実践報告・資料・その他】

8.村上弘之,鈴木明子,河野龍太郎:病院感染医療事故から学ぶ ヒューマンエラーへの考えを改め、ヒューマンファクター分析を知る.INFECTION CONTROL,19(1)103−112,2010.

9.鈴木明子:手指汚染が生む接触感染リスクと実践における注意点.感染対策ICTジャーナル,5(2),152−158,2010.

10.岡田忍:連載 感染症の看護とケアのポイント(2)高齢者に多い感染症の看護とケアのポイント.化学療法の領域,26(11),2282−2287,2010.

【研究状況】

本研究分野では,感染源や感染経路,宿主といった多角的な観点から広く感染防止に関する研究を行っている.今年度,岡田と西尾は2週間頻回交換型ソフトコンタクトレンズの細菌学的汚染と管理方法に関する論文(1)を、鈴木は医学部附属病院感染対策チームと野協働で実施した附属病院職員における新型インフルエンザワクチンの免疫原性に関する論文(2)を、それぞれ発表した.学会発表では,鈴木が院内使用PHSの細菌学的汚染(3)について,西尾と岡田が大学院生の小川とともに昨年度行なったゴマ油の塗布による口腔水分量の変化・使用感(4),在宅の要介護高齢者でのゴマ油による口腔ケアの実践事例(5),ゴマ油のCandida albicansに対する増殖抑制効果(6)についてそれぞれ報告を行なった.その他に岡田は,センタープロジェクト特任研究員の張とともに看護分野におけるサーモグラフの活用状況に関する文献レビューの結果について報告した(7).ゴマ油による口腔ケアについては大学院生の小川を中心に研究を継続しており,今年度は高齢者を対象とした介入研究に着手する予定である.宿主へのアプローチによる感染防止の視点からは,副交感神経刺激がリンパ球の機能を亢進させることに注目し,大学院生の小野がラットを用いた実験的検討についてまとめ, Biological Research for Nursing誌へ投稿・受理された.介護者に対して行った介入研究についても学会発表,論文作成・投稿の予定である.
その他には,鈴木がINFECTION CONTROL(8),感染対策ICTジャーナル(9)に,岡田が化学療法の領域(10)に解説を執筆した.

2009年

【原 著】

1.小長谷百絵,岡田忍,西尾淳子:在宅人工呼吸器使用中の療養者の気管内吸引カテーテルの管理方法について−細菌学的なデータにもとづく検討−.日本難病看護学会誌,13(3)増補,219-229,2009.

2.鈴木明子:手術室一足制導入における文化的側面.日本手術医学会誌,30(2),194-196,2009.

3.鈴木明子:手術室管理からみた一足制.日本手術看護学会誌,5(1),77-79,2009.

【学会発表抄録】

4.印田宏子,西尾淳子,鈴木明子,岡田忍:一般病床200床以上の施設における病院感染サーベイランスの実施状況と外部支援のニードについて.環境感染,24 Supplement,223,2009.

5.小川俊子,岡田忍,西尾淳子,川崎由理:オイル・精油の看護技術への応用に関する文献的検討.第29回日本看護科学学会学術集会講演集,310,2009.

【単行書】

6.岡田忍:Chapter 5 在宅における感染防止対策.川口有美子,小長谷百絵(編著)在宅人工呼吸器ポケットマニュアル.医歯薬出版,61-72,2009.

【総説・短報・実践報告・資料・その他】

7.鈴木明子:特集1 感染・アレルギー対策と清掃のスタンダード 一足制導入のプロセスとエビデンス〜慣習とエビデンスの間〜.メディア視聴覚教材+実践手術看護,3(2),17−24,2009.

【研究状況】

本研究分野では,感染源や感染経路,宿主といった多角的な観点から広く感染防止に関する研究を行っている.今年度は東京女子医科大学の小長谷らと共同で行なった在宅人工呼吸器使用者の気管内吸引カテーテルの管理方法についての論文を発表した(1).鈴木は手術室における一足制の導入について文化人類学的な視点から分析し,原著,解説の執筆を行なった(2,3,7). 現在,分野では看護ケアによる感染防止に力を入れて研究を行なっている.ゴマ油による口腔ケアについては大学院生の小川を中心に研究を継続しており,今年度は口腔カンジダ症の防止についての影響の他,振とう培養でのカンジダの増殖抑制効果,口腔水分量への影響や,1例ではあるが実際に在宅の要介護高齢者も検討を行なった.ゴマ油は口腔内の血餅や乾燥した喀痰の除去にも応用できる可能性があり,液状物質の流動特性に関する研究を行なっている首都大学東京都市教養学部の水沼教授らと共同研究を実施した.ゴマ油のような精油は看護師の判断で用いることが可能なことから,精油の看護技術への応用についての文献検討を行ない,学会発表した(5).宿主へのアプローチによる感染防止の視点からは,副交感神経がリンパ球の機能を亢進させることに注目し,大学院生の小野がストレスの持続によるリンパ球の機能低下を副交感神経刺激によって軽減できないかについて研究を行なっている.
その他には,大学院生の印田が病院感染サーベイランスの実施状況と外部支援のニードについての研究成果を学会発表し(4),岡田が在宅人工呼吸器ポケットマニュアルの分担執筆を行なった(6).

2008年

【学会発表抄録】

1.Okada S, Nagano M, Tadokoro Y, Takahashi Y, Ping ping Zhang, Yamamoto-Mitani N Characteristics of skin hygiene care of Japanese nurses-an interview study of foreign residents in Japan. 11st East Asian Forum of Nursing Scholars Annual Conference, Kaohsiung, TAIWAN, February 28-29, 2008.

2.岡田忍,西尾淳子:在宅療養の場におけるペットの飼育の問題点について−訪問介護ステーションおよびデイサービスの質問紙調査から−.第12回日本在宅ケア学会学術集会講演集,129,2008.

3.鈴木明子:手指衛生にみる医療従事者の意識と行動,環境感染,23(supple),245,2008.

4.鈴木明子:手術室一足制導入における文化的側面,手術医学,29(supple),126,2008.

5.鈴木明子:手術室管理からみた一足制,日手看会誌,4(2),191,2008.

6.小川俊子,植村紀子,西尾淳子,岡田忍:口腔カンジダ症モデルマウスを用いたゴマ油による口腔清拭の評価.日本看護技術学会第7回学術集会講演抄録集,96,2008.

7.川崎由理,岡田忍,西尾淳子,浅井美千代:馬脂油の局所塗布による放射線皮膚障害予防・緩和に関する実験的研究.日本看護技術学会第7回学術集会講演抄録集,98,2008.

【単行書】

8.岡田忍:4章V.B.入浴にみる日本文化と身体性の関わり.石垣和子他(編集)日本文化型看護学への序章−実践知に基づく看護学の確立と展開.医学書院出版サービス,94-97,2008.

9.鈴木明子:7章U.A.ケアにおける看護職文化.石垣和子他(編集)日本文化型看護学への序章−実践知に基づく看護学の確立と展開.医学書院出版サービス,181-184,2008.

10.岡田忍:1.清潔ケア・口腔ケア,9.感染防止.石垣和子,金川克子(監修),山本則子(編集) 高齢者訪問看護の質指標 ベストプラクティスをめざして.日本看護協会出版会,4-13,102-1110,2008.

【総説・短報・実践報告・資料・その他】

岡田忍 トピックレクチャー どう違う?滲出液と濾出液 看護学生 メヂカルフレンド社56(7),34−36,2008.

【研究状況】

本研究分野では,感染源や感染経路,宿主といった多角的な観点から広く感染防止に関する研究を行っている.岡田は昨年度実施した訪問介護ステーションとデイサービスを対象にした職員,施設のペットに関する質問紙調査の結果をまとめ,学会発表を行なった(2).鈴木は,感染防止の基本である手指衛生における医療従事者の意識と行動について文化人類学的な視点から分析し,学会発表を行なった(3).また,高齢者の誤嚥性肺炎や口腔カンジダ症の防止には口腔ケアが重要であることから,大学院生の小川はゴマ油による口腔ケアを博士論文のテーマに選び,現在様々な実験モデルを用いた検討を計画している.今年度はマウス口腔カンジダ症モデルの作成に取り組み,これを用いてゴマ油による口腔清拭を評価し,学会発表した(6).現在は、カンジダの菌糸の伸長に対する影響について実験を行なっている.これらの実験的研究の結果にもとづき,今年度は人を対象とした研究を進めていく予定である.

COEに関しては,岡田が身体機能調整,鈴木が医療組織文化のプロジェクトに所属し,学会発表や分担執筆を行なった(1,4,5,8,9).この他,岡田は「高齢者訪問看護の質評価指標」の清潔ケア・口腔ケアと感染防止の部分(10)や看護学生向け雑誌の病態についてのトピックレクチャー(11)を執筆した.また千葉県立衛生短期大学の川崎と馬脂油の放射線皮膚障害の予防・緩和効果について検討した(7).

2007年

【原 著】

1.岡田忍,岡本有子,高齢者訪問看護における清潔・感染防止の質評価に関する指標開発(第2報).−全国の訪問看護師への実態調査−.日本感染看護学会誌,4(1),27−40, 2007.

2.小椋正道,矢野久子,村瀬真由美,岡田忍,和田順子,寺島宏,岡本典子,脇本幸夫,下鶴紀之,古川浩,奥住捷子,溝上雅史,鈴木幹三,訪問入浴における褥瘡患者のMRSA伝播予防策の検討.環境感染,22(2),2007.

【学会発表抄録】

3.岡田忍,岡本有子,高齢者訪問看護における清潔・感染防止の質評価に関する指標開発.第7回日本感染看護学会学術集会講演集,58−59,2007.

4.岡田忍,玉木由子,中川朋子,西尾淳子,鈴木明子:2週間使い捨てコンタクトレンズおよび保存液・保存ケースの細菌学的汚染と管理方法との関連について.環境感染,22 Supplement,437,2007.

5.岡田忍,鈴木明子,西尾淳子,印田宏子:訪問看護ステーション利用者宅におけるペット飼育の実態について−訪問看護師がみたペット飼育の問題点と利点−.第11回日本在宅ケア学会学術集会講演集,165,2007.

6.岡田忍:震災下での入浴に関するインタビューと入浴困難事例に対する看護師の入浴援助についての文献的検討.千葉大学21世紀COEプログラム 第4回国際シンポジウム 抄録集,40,2007.

7.鈴木明子:手術室における一足制の導入:医療組織文化の観点からの検討,千葉大学21世紀COEプログラム 第4回国際シンポジウム抄録集,43,2007.

【単行書】

8.岡田忍(監修):症状Q&Aガイドブック.医学芸術社,2007.

【総説・短報・実践報告・資料・その他】

9.岡田忍:老人訪問看護の質評価指標の開発:ベストプラクティスに基づく評価項目策定および標準化(研究代表者 石垣和子) 平成16〜平成18年度科学研究費補助金(基盤研究(B))研究成果報告書 p7-21,2007.

【研究状況】

本研究分野では,感染源や感染経路,宿主といった多角的な観点から感染防止に関する研究を行っている.名古屋市立大学の小椋らが中心になって訪問入浴サービスにおける感染防止対策に関して行った仕事を論文にまとめ,発表した(2).2週間使い捨てコンタクトレンズおよび保存液・保存ケースの細菌学的汚染と管理方法との関連については,保存ケースの乾燥が重要であること,保存液への浸漬に対して抵抗性のある細菌が存在することを明らかにし,学会で発表した(4).在宅での感染防止対策についても継続して取り組んでおり,岡田は昨年度実施した訪問看護ステーションの職員を対象にした質問紙調査の結果をまとめ,学会発表を行なった(5).現在は,実際に訪問看護ステーションの利用者宅からの検体採取を開始し,微生物学な検討を中心に研究を進めている.高齢者のスキンケアに関しては,弱酸性洗浄剤による洗浄の効果について花王との共同研究の成果をまとめ,現在投稿中である.また,特別養護老人ホーム職員に入所者のスキントラブルの実態に関するグループインタビューを実施し,その結果にもとづいて,弱酸性洗浄剤を使用した場合の費用対効果の検討を計画している。この他,岡田は訪問看護の石垣,山本らの「高齢者訪問看護の質評価指標の作成」の研究分担者として,清潔と感染防止についての質評価指標作成のプロセスをまとめ(1,9),全国調査の結果を学会で発表した(3).また,2年間のナーシングカレッジに連載した症状Q&Aに加筆し,代表的な症状のメカニズムに関する解説書を監修した(6).

COEに関しては,岡田が身体機能調整、鈴木が医療組織文化のプロジェクトに所属し,それぞれ第4回国際シンポジウムの分科会で発表を行なった(6,7).

2006年

【学会発表抄録】

1.岡田忍,岡本有子,高齢者訪問看護における清潔・感染防止の質評価に関する指標開発.第6回日本感染看護学会学術集会講演集,42-43,2006.

2.岡田忍,西尾淳子,鈴木明子,西尾正也,長谷部恵子,上野真理:高齢者の皮膚常在菌について.環境感染,21 Supplement,392,2006.

3.鈴木明子,佐々木君枝,山本美佐江,久保悦子,倉山富久子,村田正太,渡邊正治,中村安孝,田原正道,安蒜聡,古山信明,石和田稔彦,猪狩英俊,佐藤武幸:オーディットチェックリストを用いたICTラウンドによる感染対策.環境感染,21 Supplement,272,2006.

4.岡田忍:在宅療養者におけるペットの飼育状況.第10回日本在宅ケア学会学術集会講演集,130-131,2006.

5.Okada S., Nagano M., Nishio J., Suzuki A., Nishio M., Hasebe K.: Washing with skin detergent containing synthetic pseudo-ceramide improved skin conditions of nursing home and old-age home residents. WOCN 38th Annual Wound, Ostomy, Continence Conference(Minneapolis, U.S.A.), June 24-28, 2006.

6.渡辺麗子,鈴木明子,木元博史:緩和ケア施設のない地域の住民の終末期を支えるには.2006年プライマリケア関連学会連合学術会議プログラム・抄録集,36,2006.

7.岡田忍,永野みどり,石田陽子:高齢者の入浴習慣の地域差について−岩手県と沖縄県の比較.第10回北日本看護学会学術集会プログラム・抄録集,85,2006.

8.岡本有子,岡田忍,石垣和子,山本則子:高齢者訪問看護における家族支援の質評価に関する指標開発:全国の訪問看護師への実態調査.家族看護学研究,12(2),141,2006.

9.吉田千文,小池智子,岩崎弥生,荻野雅,鈴木明子,野崎章子:医療組織文化と看護ケアー日本文献調査から.千葉看会第12回学術集会集録,23,2006.

10. Suzuki A., Iwata Y., Kubo E., Watanabe A., Igari, H. Sato T.: Intervention of ICT for prevention and control of infection.The 5th East Asian Conference on Infection Control and Prevention EACIC 2006 Program & Abstracts,39,2006.

11.山本則子,石垣和子,金川克子,正木冶恵,鈴木みずえ,山田律子,鈴木育子,永野みどり,岡田忍,本田彰子,赤沼智子,根本敬子,辻村真由子,岡本有子,深田順子:高齢者訪問看護の質評価指標開発:全国の訪問看護ステーションを対象とした実態調査,第26回日看科学学会学術集会講演集,213,2006.

【単行書】

12.岡田忍:第3部1章自己免疫性溶血性貧血患者の看護,第3章接触皮膚炎患者の看護.矢野久子,御供泰治(編集) ナーシンググラフィカ(代)健康の回復と看護 生体防御機能障害.メディカ出版,92-98,110-116,2006.

【その他】

13.高橋美央,鈴木明子:速乾式手指消毒剤の効果的な1回使用量の検討.第20回千葉県院内感染研究会,2006.

14.岡田忍:日本人の清潔習慣に配慮したスキンケア−高齢者の入浴習慣に注目して.千葉大学21世紀COEプログラム The 21st Century Center of Excellence Program. The 3rd International Symposium. The Japanese Nursing Science incorporating culturally appropriate care: The creation and verification of knowledge,34-35,2006.

15.中村伸枝,岡田忍,石垣和子:看護学部における感染症対策,千大看紀要,28,59-63,2006.

16. 村上弘之,岡田忍:看護学生の臨床実習における感染予防対策 その1看護学生の免疫獲得状況からみた提言.看護教育,47(10),900-904,2006.

17.岡田忍,中村伸枝,村上弘之:看護学生の臨床実習における感染予防対策 その2 抗体検査と予防接種について.看護教育,47(12),1137-1140,2006.

【研究状況】

本研究分野では,感染源や感染経路,宿主といった多角的な観点から感染防止に関する研究を行っている.今年度は,鈴木が速乾式手指消毒剤の効果的な1回使用量について報告(13)をまとめ,千葉大学医学部附属病院ICTの活動をもとにICTラウンドやMRSA分離患者増加時の介入など院内感染防止活動の成果について学会発表を行なった(3,10).岡田は,看護学生の臨床実習における感染予防対策のあり方および千葉大学での実践について,報告を行なった(15,16,17).宿主の皮膚を健康に保つこと,すなわちスキンケアも感染防止においては重要であり,特に皮膚のバリア機能の低下する高齢者でその意義は大きいと考えられる.高齢者のスキンケアに関しては,高齢者の皮膚常在菌の特徴,高齢者の皮膚に対する弱酸性洗浄剤による洗浄の効果について花王との共同研究の成果を国内外の学会で発表した(2,5).今後は、弱酸性洗浄剤の費用対効果についての研究を進めていく予定である.また,スキンケアについては,COEサブプロジェクトの一環として岡田が病院管理システムの永野らと日本の文化的背景を踏まえたスキンケア方法に関する研究を行っており,今年度は高齢者の入浴習慣の地域差についてまとめ,第3回国際シンポジウムおよび学会で発表した(7,14).また,在宅での感染防止対策についても継続して取り組んでいる.在宅においては,ペット飼育に関連する感染症やアレルギー性疾患を発症する可能性があり,このテーマに関して岡田は科学研究費補助金を獲得し,今年度は千葉市内で行なった調査結果の学会発表(4)と関東地方の訪問看護ステーション,訪問介護ステーションの職員を対象にした質問紙調査を行った.今年度は、デイサービスを対象にした調査と試料採取を予定している.岡田は訪問看護の石垣,山本らの「高齢者訪問看護の質評価指標の作成」の研究分担者として,清潔と感染防止についての質評価指標を作成のプロセス,全国調査の結果を学会で発表した(1,8,11).引き続きこの指標を用いて実施した全国調査の結果をまとめ,学会での発表、論文の作成を行なっていく.

この他,鈴木はCOEサブプロジェクトの一環として,患者−家族関係の視点から見た緩和ケア施設のない地域住民の終末期について(6),医療組織文化と看護ケアについて(9)の学会発表を行なった.岡田は,生体防御機能障害患者の看護に関する教科書を分担執筆した(12).