概要
Outline

教育理念・教育目標

千葉大学看護学部は、昭和50年4月に設置された国立大学で唯一の看護学部であり、看護に必要な能力を養い、広く看護学領域における有能な人材の育成を目的としています。現在、基礎看護学、母子看護学、成人・老人看護学及び地域看護学の4つの大講座(12教育研究分野)と、文部科学省に看護学教育研究共同利用拠点として認定され、全国の看護系大学等の教員との共同研究や現職の看護教員・指導的立場にある看護師を対象とした研修事業等を行うことを目的として設置されている附属看護実践研究指導センターとで構成されています。

大学院は、昭和54年4月、看護学部の教育研究を基礎にして看護学研究科修士課程が設置され、平成5年4月には、看護学研究科博士課程(看護学専攻、前期2年、後期3年)が設置されました。同研究科は、大学院設置基準第14条が適用され、看護の実践現場から離れずに修学ができるようになっています。

看護学部管理棟から中庭を望む

また、看護の高度化・専門化に対応するため「専門看護師」制度が発足し、博士前期課程はその教育課程として認定されており、さらに、平成14年4月には、看護学部の実績をもとにした独創的な専攻である「看護システム管理学専攻」(独立専攻、修士課程、3年制)が設置されました。

平成26年4月には、千葉大学、高知県立大学、兵庫県立大学、東京医科歯科大学、日本赤十字看護大学の国公私立5大学の共同教育課程として、5年一貫制博士課程「共同災害看護学専攻」が設置されました。

現在、看護学部の学生定員は340名、看護学研究科博士課程の学生定員は86名(前期2年50名、後期3年36名)、看護学研究科修士課程は36名、5年一貫制博士課程は2名であり、創設以来、平成26年3月までに3,043名の学部卒業生と916名の看護学研究科修了生を送りだしています。

教育理念(学部)

看護学は、看護専門職者の実践活動に理論的根拠と体系を与え、人々が健康かつ安寧な生活を送ることができるように、一人ひとりを尊重する立場から支援する方法を追究する学問です。千葉大学看護学部は、看護を学問として切り拓き、探究・継承してきた歴史があります。

千葉大学看護学部における学士課程の教育は、多様な学問体系を包含する総合大学の環境の中で、豊かな感受性と創造力、柔軟かつ論理的な思考力、幅広い問題意識、確かな倫理観を備えた調和のとれた人間性を育むことを重視します。この人間性の涵養を基盤に、看護学を教授することにより、あらゆる成長発達段階にある人々、あらゆる健康状態にある人々、様々な環境下で暮らす人々に看護を提供するための基礎的能力を育成します。そして、多様な人々との連携・協働の中で、看護専門職としての役割を明確に示しながら現代社会の要請に積極的に応え、以て看護実践の向上ならびに看護学の発展に主体的に貢献できる人材を育成します。

本学部学士課程の教育は、学生個々人がもつ能力を大切にし、その能力がさらに発展するよう支援します。また、多様な背景をもつ学生の個別の学習ニードに対応した支援を行います。さらに、学生自身の学習意欲を尊重し、学生の主体的に学ぶ経験をとおして、看護専門職者として生涯発展していくことができるような能力を育成します。同時に、大学院看護学研究科博士課程に連動する基礎的学力をもつ人材を育成します。

教育目標(学部)

千葉大学看護学部は、多様な人々との連携・協働の中で、看護実践の根拠や看護専門職としての役割を明確に示しながら社会の要請に積極的に応え、人類の健康・福祉に主体的に貢献できるナース・サイエンティストの育成を目指している。

したがって、第一に、幅広い教養と豊かな人間性を基盤に、専門的な観点から看護の対象となる人々を統一体として理解する人材を育成する。これを前提に、あらゆる成長発達段階、あらゆる健康状態にある人々の看護の必要性を見出し、専門的な判断と技術を基盤に看護を実践できる能力を育成する。

また、活用可能な知識や技術を産出できる研究の基礎的能力を育成し、看護実践と研究の往還によって、人類の健康と福祉、看護学の発展に寄与することに価値を置く人材の育成を目指す。

さらに、地球規模的な視点で、看護学の知と技を、人々の安寧と健康に資するよう社会に実装することに積極的に取り組める人材、すなわち、革進力を備えた人材を育成する。

以上の活動においては、関連する多様な人々との連携協働を基盤とする。連携協働する人々の立場や専門性を理解し、共に目ざす目標を共有し目標達成に向け、自らが果たす役割を見出し、その役割を主体的に果たすことができる人材を育成する。

また、看護実践、研究活動、社会実装、連携協働のあらゆる活動や場において、看護職は、常に高い倫理観をもって、人間の生命、人間としての尊厳および権利を尊重し行動することを求められる。さらに、科学や医療の進歩、社会的な価値の変化に伴い多様化する人々の健康上のニードに対応するために、生涯にわたり自己の能力の開発・維持・向上に努めることは、看護専門職としての責務である。そのために、適切な自己評価に基づき課題を見出し、新たな目標を設定し、絶えず課題の克服と目標達成に取り組み、その成果を評価するという循環を自律的に行える人材を育成する。

卒業時までの到達目標は以下の6つである。

① 根拠に基づく看護実践能力

看護の対象となる人とのかかわりにおいて、人間についての幅広い専門知識を用いてその人を統一体として理解し、臨床判断により看護の必要性を見出し、根拠に基づきあらゆるレベルにある人の看護を実践できる。

② 人類の健康と福祉に寄与する看護学の知を産出する研究能力

現代社会における健康と福祉に関する課題を多面的・学術的に理解し、問題を解決するために必要な看護学の知を産出するために必要な情報やデータを自ら系統的に収集・分析し、それらを適切に活用・発信する方法を修得できる。

③ 問題の解決や変化への対応に向け、地球規模的な視点を持って看護学の知を社会に実装することを通して看護の立場から社会を革進する力(革進力)

探究すべき課題を発見し、その解決を目指して、看護学の知と技を、人々の安寧と健康に資するよう社会に実装することの価値を理解し社会実装に積極的に取り組める。

④ 看護実践、研究活動、社会実装といったあらゆる活動に関わる人々と連携協働する能力(連携協働力)

看護実践、研究活動、社会実装、連携協働のあらゆる活動や場において、関連する職種や市民と連携・協働しながら問題解決に取り組むことができる。

⑤ 看護実践能力、研究能力、革進力、連携協働力を支える看護専門職としての倫理的実践能力

看護専門職者としての倫理的判断に基づき、看護実践、研究活動、社会実装、連携協働において、対象となる個人、家族、集団、地域の多様な価値を多角的に理解し、人々を尊重して行動できる。

⑥ 生涯にわたってより高き者を目ざすために必要な自己教育力

自己の成長が、看護学の発展、そして人類の健康と福祉に貢献することに価値を置き、適切な自己評価に基づき看護専門職者として必要な学修課題や目標を自ら設定し、適切な学習方法を選択、活用して、絶えず課題の克服と目標達成に取り組み、その成果を評価することができる。

教育目標(看護学研究科)

博士前期課程(看護学専攻)

看護学コース

自ら専門領域における研究課題 を見出し、その課題の探究および 知識基盤の発展に必要な基礎的研究能力に基づいて、主体的に行動できる人材を育成する。
保健医療福祉システムの変化や、多様化・国際化した看護活動の必 要性をふまえ、また自己の国際経 験を生かし、看護支援方法の研 究・開発を行うことができる人材を育成する。
専門領域における研究課題を探究するために必要な基礎的研究能力および、幅広い視野から柔軟に思考できる能力の修得、新たな価値体系の創造力・指導力に関する基礎的理論や知識を修得し、活用できる人材を育成する。
専門領域の看護実践に必要な看護の諸理論、方法に関する知識を修得し、対象者の問題に応じて適切な看護を他者と協調・協働しながら実践できる人材を育成する。

看護実践学コース
看護管理学プログラム

看護管理に携わる看護職者として、自ら組織の課題を見出し、課題解決に向けた問題解決能力、実践的に検証する能力に基づいて、主体的に行動できる人材を育成する。
保健医療福祉システムの変化や、医療の高度化、多様化・国際化した看護を俯瞰し、自己の国際経験を活かして変革的に行動する能力を修得する。
専門的な知識・技術・技能を活かし、柔軟な思考をもって文献などの情報を活用して、職場の課題解決のために、方策・評価方法を示すことができる人材を育成する。
自組織の課題解決に向けてモデルや理論を活用して系統的かつ論理的に課題の背景を分析し、実現可能な目的・目標を設定した上での課題解決に導く方策の策定、評価・検証に取り組むための研究能力を修得し、自組織の課題解決に向けて倫理的な配慮を行い所属組織の合意を得て、問題解決にあたることができる人材を育成する。

高度実践看護学プログラム

自ら専門領域における研究課題を見出し、その課題の探究および知識基盤の発展に必要な高度な看護実践能力に基づいて、主体的に行動できる人材を育成する。
保健医療福祉システムの変化や、多様化・国際化した看護活動の必要性をふまえ、また自己の国際経験を生かし、倫理的問題解決の調整を行うことができる人材を育成する。
専門領域における研究課題を探究するために必要な基礎的研究能力および、幅広い視野から柔軟に思考できる能力を修得する。
新たな価値体系の創造力・指導力に関する基礎的理論や知識を修得し、活用できる人材を育成する。
専門領域の看護実践に必要な看護の諸理論、方法に関する知識を修得し、対象者の問題に応じて適切な看護を他者と協調・協働しながら実践できる人材を育成する。

特定看護学プログラム

看護と特定行為を統合し、所属組織で質の高い医療を提供するための高度実践能力に基づいて、主体的に行動できる人材を育成する。
保健医療福祉システムの変化、医療の高度化、多様化、国際化に対応した特定行為と看護活動を開発検証し変革的に行動できる人材を育成する。
高度実践に必要な知識・技術・技能に関して根拠を吟味し、組織に実装するための、情報活用および課題解決ができる人材を育成する。
特定行為を看護と統合して提供し、必要に応じてあらたな特定行為を開発実装するために必要な諸理論、方法、知識を習得し、他の専門職と協働して問題解決にあたることができる人材を育成する。
特定行為を看護と統合して提供しながら自部署の診療ケアの改革を行い、そのアウトカムを検証し論述する研究能力を修得する。

博士後期課程(看護学専攻)

自立した研究者として研究倫理を 身につけ、看護学の学的基盤の発 展に貢献する研究を遂行できる人材を育成する。
自己の国際経験を生かし、学術的視点および国際的視点をふまえ、文化を考慮に入れた看護支援方法の研究・開発を行い、成果を学際的・国際的に発信すると共に、教養を高めて、持続的発展が可能な教育・人材育成に貢献できる人材を育成する。
看護学にかかわる創造性に富む高度な研究・開発能力と豊かな学識を身につけ、関連分野の研究グループに参加し、組織的な研究活動を推進できる人材を育成する。
看護学の専門性に根ざした課題に対し創造性豊かな研究・開発を行い、専門領域の情報・知識を統合し、多様な人々と協調・協働しながら健康社会を支える新たな知見や価値を創出することができる人材を育成する。

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