10周年記念特別インタビュー10周年記念特別インタビュー

10周年を迎えて

石垣 和子先生

石垣和子先生
所  属 石川県立看護大学 学長
本学での在職期間と職位 2000年4月~2009年3月 教授

平成13年4月、私と上野先生、鈴木先生、そして院生として窪川さん、伴さん、新井さん、科目履修生として伊藤さん、研究生として田中君というメンバーで始まったのが、訪問看護研究室です。上野先生と鈴木先生は前年から着任されており、1年遅れて私が千葉大学に着任してゼミが始まりました。「ゼミってどうやるの?」というところから、皆で考え、活動の報告やディスカッションを積み重ねました。私自身は訪問看護の現場経験がなかったため、上野先生に教わることが多かったです。

カリキュラム作りもなかなか大変でした。最後にできた研究室ということもあり、他領域との時間割の調整には特に苦労しました。たとえば「訪問看護Ⅲ」は、最初と最後を講義として、間は自己学習、という形をとるなど工夫が必要でした。「厚労省に行ってもいいのよ、○○に突撃したら?」など自己学習の方法をレクチャーしていたら、本当に厚労省に突撃した人もいたりして、志の高さ、パワーを感じました。 その後、上野先生が移られ、私が学部長を務めることになり、山本先生・福井先生においでいただきました。院生も教員も千葉大生え抜きが多い看護学部の中で、次々と外から人がやってくる訪問看護研究室は、ちょっと変わった存在だったかもしれませんね。でも、さまざまな環境から人が来た分、千葉大学の力を活かしつつ自由な発想ができたように感じています。

2004年~2007年にかけておこなったCOEも良き思い出です。はじめにドラフトを書いたときはまさか通るとは思いませんでしたが、結果的に、千葉大学の価値を高めることができたように思います。「日本文化型看護学の創出・国際発信拠点」というテーマも千葉大学に親和性があったのかなと思います。ここから文化看護学会も生まれ、非常に有意義なプログラムでした。メタ統合も、苦労の連続でしたが、やってよかった、貢献できたと考えています。
研究室を創るというのは、非常に時間がかかるものです。少し遠くまでビジョンを持ち、長い積み重ねがないとできあがらないと思います。訪問看護研究室は、私が創った教室ではなく、千葉大学看護学部が思いを込めて創った場所です。大切に育ててほしい。そして、学生の皆さんへのお願いです。訪問看護教室には、様々な経験や立場を経た人がいつも揃っています。直接の関係がなくても、関連や興味があればぜひ気軽に訪ねて接していただきたいと思います。