学部長挨拶・看護学部概要説明
看護学部長 増島 麻里子
学部長の挨拶
人は、健康そして病とともに人生を歩む存在です。誰しも家庭や医療機関で看護を受けた経験はあると思いますが、身近な「看護」を学問として追究すると「看護」の捉え方は大きく変わります。千葉大学看護学部は、2025年に看護学部創立50周年を迎えた歴史ある大学であり、日本で初めて「看護学学士」の称号を付与した大学でもあります。本学部のカリキュラムは、看護系大学としてのこれまでの教育・研究の蓄積を礎に、学生が看護専門職者としての基礎を学び、「つねにより高きものを目指すナース・サイエンティスト」として成長していけるように構築しています。ナース・サイエンティストとは、複雑で困難な状況においても科学的根拠をもとに考えながら行動できるナースであり、実践の科学として看護学を構築し、他領域の専門職者と協働しながら看護学の立場で社会に貢献する人です。
看護の対象はあらゆる年代の人、そして個人、家族、集団、地域社会も含みます。その対象が健康を保つとはどのようなことか、よりよく生きるとはどのようなことか、答えは1つではありません。同じような対象や状況に出会ったとしても、以前の方法では解決が困難なこともあります。本学部では、生命を尊び、対象個々の考え方や視点を大切にすること、そして、根拠に基づきながら最善の方向性を徹底的に考え、行動するプロセスを重視します。
今日の日本や世界は、新興感染症の流行、医療の進歩に伴う生命・医療倫理におけるジレンマ、貧困、紛争など、人々の生活に影響する社会課題や健康課題に直面しています。総合大学である千葉大学では、看護学以外の学部生や大学院生との交流や留学を通して、他領域の知見や考え方、地域や文化の共通性と相違性を学修することで人間性を高め、多角的な視点を育むことができます。看護学の知と実践は、どのような国、地域、社会においても、複雑な課題の克服を目指し、自律、安寧、健康の維持・増進に貢献することから、卒業生は多方面の組織や国で活躍しています。「学びの拡がりは無限大」である千葉大学看護学部で、高い志をもった皆さんと共に考え、学び、高め合えることを楽しみにしています。
はじめに

これから看護学部のデジタルオープンキャンパスを始めます。
看護学とは

看護学は、人々が健康かつ安寧な生活を送ることができるように,一人ひとりを尊重する立場から、看護師、保健師、助産師を含む看護専門職者の実践活動のための理論的根拠や方法を追究する学問です。
千葉大学看護学部のミッション

私どものミッションは、
- 看護学の新領域の研究及び先進的教育プログラムの開発により、日本のみならず、グローバルに看護学の発展を牽引するナース・サイエンティストを育成すること
- 看護系大学の教育を担う、教育研究者の育成において、日本最大規模の拠点として役割を果たすこと、です。
千葉大学看護学部の特色

看護学部は1975年に国立大学唯一の看護学部として設立され、2025年に創⽴50周年を迎えました。
千葉⼤学は総合⼤学ですので、看護学に限らず幅広く学問を学べること、他学部の学⽣と交流できることが特⾊です。
また、亥⿐キャンパスは、医学部・薬学部・看護学部の3つの医療系学部が共に同じキャンパスで学べます。
国家試験の受験資格は、全学⽣が看護師、および、保健師の受験資格を得られ、助産師のみ選択制となります。他の大学では、保健師のカリキュラム受講も選択制の⼤学が増えていますが、千葉⼤学では看護専門職としてコミュニティや在宅ケアも含め、広く活動できる⼈材を育てたいと考えることから、保健師の受験資格を全員が得られるカリキュラムとしています。
卒業生ネットワークは⼤規模であり、看護学部の卒業⽣や大学院修了⽣が全国の看護系⼤学で教育研究者として活躍しています。
また、千葉⼤学看護学部は、教員の研究費獲得率が⾼く、社会のニーズに応える新領域の教育と研究を同時に推進しています。さらに、看護学の教育・研究・実践を往還する役割を果たす附属センターも有し、社会貢献に努めています。
教育理念

教育理念は、多様な人々との連携・協働の中で,看護専門職としての役割を明確に示しながら現代社会の要請に積極的に応え,看護実践の向上ならびに看護学の発展に 主体的に貢献できる人材を育成することです。
看護は⼈を対象としますので、創造⼒や問題意識、そして倫理観、思考⼒、感受性をあわせもつ、調和のとれた豊かな⼈間性が基盤となります。これらの基盤に基づき、看護を提供するための基礎的能⼒を育成します。
6つの教育目標

看護学部では、教育目標として6つの力の獲得を掲げています。
それは、1.看護実践能力、2.研究能力、3.革進力、4.連携協働力、5.倫理的実践能力、6.自己教育力です。

これら6つの力に関わる学びを促進することによって、将来、看護の知と技を社会に実装し、看護の立場から社会を革進する人材を育成します。
看護学部看護学科 カリキュラムツリー

看護学部では、カリキュラムツリーでお示しするように、普遍教育科目群と専門科目群を並行し、体系的に学ぶことができるカリキュラムを提供しています。
入学から卒業までのプロセス

入学から卒業までのプロセスとしては、1年次、2年次では、全学の学生とともに、主に普遍教育科目を履修します。並行して専門科目を履修するとともに、研究については1年次から基礎学修に取り組みます。
実習は1年次から始まり、生活者との交流実習、看護基盤実習、訪問看護実習を経て、専門領域をローテーションする看護コア実習、そして学⽣⾃らが領域を選択できる統合実習や看護マネジメント実習と、看護の専門性を網羅的に学べるようにしています。
また、夏休みや春休みは、海外留学の推奨期間としています。
特色ある授業

特⾊ある授業には、亥⿐IPEがあります。この授業は全員必修であり、医学部・薬学部・看護学部の学⽣、および、ステップ1では⼯学部の学⽣も加わり、共に学びます。1年次から積み上げる構成は世界でも稀であり、千葉⼤学の⼤きな特⻑です。
海外留学・派遣プログラム

看護学部では海外の大学と交流協定を結んでおり、看護学独自の留学プログラムも用意しています。同じ看護学を学ぶ学生同士の国際交流では、双方が楽しみながら多くの学びを得ています。
サークル・部活動

千葉大学の亥鼻キャンパスには、体育系、文科系の多くのサークルがあります。
学生支援体制

大学生活を送るうえでは、「問題」や「悩み」が生じるかもしれませんが、全ての学生が充実した生活を送り、人間的な成長を遂げて卒業できることを願い、お示した学生支援体制を整えています。
国家試験受験状況

国家試験の受験状況について、2024年度は、保健師と助産師の合格率は100%、看護師は全国平均よりも⾼い98.7%でした。
卒業時の進路状況

卒業時の進路は、看護師が最も多く、保健師は約5%、助産師は国家資格を取得した全員が助産師として就職します。また、同じ職種で生涯働く卒業生もいますが、複数の国家資格があることを生かし、数年間、看護師として働いた後に保健師になるなどの道も拓けます。
進学者については約10%で推移していますが、看護学部のミッションに基づくと、卒業後すぐに大学院に進学し、研究⼒を高めてから臨床で働く卒業生も今後増加すると思われます。
卒業後の進路

そして、千葉大学看護学部の卒業後には、多様なキャリアアップの道があります。
看護系⼤学の教育者・研究者、看護実践のエキスパートである専門看護師など、さらに看護部長などの看護管理者や保健医療や高等教育を担う政策や行政の場での活躍など、卒業生は様々な場で活躍しています。いずれも⾼度な専門性を⾝につけるためには、 ⼤学院で学ぶことが求められます。
千葉⼤学で看護学を学ぶということは、将来の看護、医療をよりよくしていく使命を担うことになります。この動画を見てくださっている皆さんが、それぞれの夢や希望に沿って進学くださること、そして⽇本、および、世界の看護や医療の未来を担う気概と高い志をもって⼊学くださることを心から願っております。
看護学部の求める入学者
千葉大学看護学部は、多様な人々との連携・協働の中で、看護実践の根拠や看護専門職者としての役割を明確に示しながら社会の要請に積極的に応え、人類の健康・福祉に主体的に貢献できる、ナース・サイエンティストの育成を目指しています。
看護学部入学者受入方針(アドミッションポリシー)
千葉大学看護学部は、看護専門職者に必要な基礎的能力を育成し、さらに将来、看護学分野の教育者・研究者、また高度実践や政策形成において、指導的役割を担う人材の基礎教育を行うため、以下のような入学者を募集します。
1.確かな学力
看護学とその関連知識・技術の修学に必要な基礎学力を持つ人。
2.豊かな感性・主体性
現代社会を生きていく人間として欠くことのできない国際的、倫理的、知的な素養を備え、様々な人々と協力し、主体的に行動できる人。
3.高い志
幅広い問題意識を持ち、人々の健康を支えるという側面から、看護の実践や研究に取り組みたいという意欲を持つ人。
過去5年間の入学試験実施状況
こちらに掲載しております。
令和7年度一般選抜現役・既卒の割合
志願者191名のうち現役の方は156名、既卒の方は35名です。志願者の現役割合は81.7%です。合格者61名のうち現役の方は56名、既卒の方は5名となります。合格者の現役割合は91.8%となり、既卒に比べて現役の合格者が多いです。
令和7年度一般選抜合格者の試験結果
配点 1375点(共通テスト475点+個別900点)
当初合格者 60名
最高点 1005点(73.2%)
最低点 723点(53.2%)
平均点 804点(58.5%)
令和8年度入学試験の概要
1:一般選抜(前期日程のみ)
募集人員:49名
出願期間:令和8年1月26日~2月4日
試験日:2月25日・26日
合格発表:3月7日
試験科目:面接、理科、外国語、及び大学入学共通テスト(6教科8科目)
※詳細は、10月下旬公表予定の「令和8年度千葉大学一般選抜学生募集要項」をご覧ください。
2:学校推薦型選抜
募集人員:24名
出願期間:令和7年11月4日~5日
試験日:11月15日
選抜方法:調査書、推薦書、小論文、面接により、総合判定のうえ、合格内定者を決定します。
大学入学共通テスト(指定の教科・科目の成績の総得点がおおむね65%に達した合格内定者を最終合格者として決定します)
3:社会人選抜
募集人員:7名
出願期間:令和7年10月20日~22日
試験日:11月15日
選抜方法:小論文、英語*、面接及び出願調書の内容により総合判定のうえ、合格者を決定します。
*英語については、提出されたTOEIC L&R+S&W、TOEFL-iBT、 GTEC(4技能のオフィシャルスコアに限る)、IELTS、実用英語技能検定の成績を利用します。
令和8年度看護学部入学者選抜方法(前期日程)
(1)大学入学共通テスト(6教科8科目 475点)
国語
地理歴史・公民から1科目
数学(数IA、数IIBC)
理科(物理、化学、生物から2科目)
外国語(英語(リスニング含む)、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語から1科目)
情報(情報I)
(2)個別学力検査(900点)
面接 100点
理科(物理基礎・物理、化学基礎・化学、生物基礎・生物から2科目)500点
外国語(英語コミュニケーションI・II・III)300点
過去問題の請求方法
学校推薦型選抜については昨年度分のみ公開となっております。高等学校を通して請求してください。
社会人選抜については事前に予約していただいての閲覧となります。
学生生活
1.学費等
入学金は282,000円、授業料は半期で321,480円、年額642,960円です。それ以外に初年度は学生教育研究災害傷害保険料5,370円(4年分)、後援会費60,000円、同窓会費12,000円などを含めて年間1,002,330円となります。
2.授業料免除制度
経済的理由により授業料の納付が困難であり、かつ学業優秀と認められる方が対象です。
なお、授業料免除を申請にあたり「高等教育の修学支援制度」への申請が必要となります。
新入生の場合は、「高等教育の修学支援制度」に採用になった場合、入学料について全額又は一部が免除されます。入学手続き時に入学料を支払っていた場合は、後日、免除となった入学料相当額が返還されます。
3.奨学金制度
全学部生を対象にした日本学生支援機構奨学金(貸与・給付)があります。その他、都道府県や市町村、個別の病院からの奨学金などがあります。