プログラムの構成

亥鼻IPEは、Step1(1年次生)からStep4(4年次生)まで、4つのステップから構成された、段階的かつ総合的な教育プログラムです。それぞれのステップに学習到達目標を設けています。


4年間にわたる必修プログラム

亥鼻IPEは、3学部ともに必修科目で、4年間にわたる継続性のある段階的学習プログラムです。選択科目としてではなく、必修としているのは、私たちが、専門職連携能力はこれからの医療にとって必須の能力であり、教育機関の責務として確実に育成すべき能力と考えているからです。

 

 

Step1のテーマは「共有」です。

Step1「共有」は、患者やサービス利用者とふれあう体験、コミュニケーション・ワークショップや、数々のグループワークなどをとおして、「専門職としての態度の基礎を形成し、患者・サービス利用者および他学部の学生とコミュニケーションできる能力」を身につけるステップです。

Step2のテーマは「創造」です。

Step2「創造」は、保健、医療、福祉現場での見学実習やグループワークをとおして、「チームメンバーそれぞれの職種の役割・機能を把握し、効果的なチーム・ビルディングができる能力」を身につけるステップです。

Step3のテーマは「解決」です。

Step3「解決」は、チームでの対立や葛藤を分析し、解決に向け回避せず取り組むことを通して、「患者・サービス利用者、医療専門職間の対立を理解し、問題解決ができる能力」を身につけるステップです。

Step4のテーマは「統合」です。

Step4「統合」は、Step1から積み上げてきたIPEに関する学びと、それぞれの専門分野の学びを統合し、チームで退院計画の作成に取り組むことで、「患者・サービス利用者を全人的に評価し、患者・サービス利用者中心の専門職連携によって診療・ケア計画の立案ができる能力」を身につけるステップです。

以上の4つのステップをとおして、高い専門性と患者・サービス利用者のためにという意識をもち、自律しつつ、さまざまな専門職と連携し、 お互いを高めあい、学ぶことをつづけていく、そのような「自律した医療組織人」 の育成を目指しています。(より具体的には、各Stepのページで確認してください。)

各Stepでの学習到達目標

Step 学習到達目標
Step1 共有 専門職としての態度の基礎を形成し、患者・サービス利用者および他学部の学生とコミュニケーションできる能力。Step1の終了時、学生は以下のことができる。

  1. 専門職として成長するために何が必要かを考えることができる
  2. チームメンバーそれぞれの専門領域の役割機能を理解し尊重できる
  3. チームの取り組みと成果を説明できる
  4. 患者・サービス利用者とのコミュニケーションから、患者・サービス利用者の体験と希望を理解できる
  5. チームメンバー、他の専門職及び教員と肯定的なコミュニケーションをとることができる
  6. チームの目標達成のために自己の責任を果たすことができる
Step2 創造 チームメンバーそれぞれの職種の役割・機能を把握し、効果的なチーム・ビルディングができる能力。Step2の終了時、学生は以下のことができる。

  1. 実際に行われている治療ケアの根拠と理由を(説明を受けて)理解できる
  2. チームづくりに必要な基礎知識とスキルを理解し、自分のチームに活用できる
  3. チームの目的達成に向け、自分の行動を調整できる
  4. 医療福祉サービスおよび行われているケアを患者・サービス利用者の自律および自立の観点から説明できる
  5. 他の専門職や教員、チームメンバーと、チームの目標達成のために有効なコミュニケーションをとることができる
  6. 医療、保健、福祉の場における各専門職の役割機能を説明できる
Step3 解決 患者・サービス利用者、医療専門職間の対立を理解し、問題解決ができる能力。Step3の終了時、学生は以下のことができる。

  1. 学生の立場から専門職としてあるべき姿を考えることができる
  2. 対立及び対立の解決について説明でき、チームで生じている対立に気づくことができる
  3. チームの目標達成のためにチーム内の対立を解決できる
  4. 複数の問題解決案の中から、患者・サービス利用者らの意思を尊重した最も良い方法を、チームとして選択できる
  5. 患者・サービス利用者の治療ケアのあり方について、チームメンバーと率直に話し合うことができる
  6. 学生として現在保有している専門的知識と判断に基づいてチームメンバーに意見を述べることができる
Step4 統合 患者・サービス利用者を全人的に評価し、患者・サービス利用者中心の専門職連携によって診療・ケア計画の立案ができる能力。Step4の終了時、学生は以下のことができる。

  1. 専門職及び教員の支援を受けて、最新の専門知識を退院計画に反映できる
  2. チームメンバーの専門性の特徴や限界をに基づいてチームメンバーと協力できる
  3. チームの目標達成のために、チーム状況を評価し、自己の実践を決定できる
  4. 患者・サービス利用者への全人的評価に基づいた退院計画を、チームとして立案できる
  5. チームメンバーおよびかかわる多様な専門職と、良好な人間関係のもと、話しやすい雰囲気を作ることができる
  6. 自職種の専門的知識や技術を用いてできることの範囲および課題を学生の立場から説明できる