国際共同研究

認知症との地域共生を実現するケアリング・コミュニティの協働デザイン
活動事例集
誰もが認知症と共に生きる共生社会の実現に向けて多様な参画者の協働による地域づくり活動事例集
認知症の人の居場所づくりや認知症の人や家族との支え合う地域づくりの活動の実際から、誰もが認知症と共に生きる共生社会実現を目指して、市民や専門職、行政など多様な人々が協働して活動していくヒントが得られると思い、事例集にまとめました。
活動事例の選択基準
- 認知症との地域共生の実現を目指して地域づくり(居場所づくり)活動をしている。
- 2年以上実施している。
- 下記の5つのステークホルダー(関係者)の内、2種類以上の人が参加・関与している。
ただし、参加や関与の程度は問わない。- (1)認知症を有する人・家族
- (2)市民(近隣、家族会、民生委員、ピアサポーターなど)
- (3)地域資源関係者(NPO、郵便局、民間企業など)
- (4)保健医療福祉介護の専門職者(保健師、看護師、医師、ソーシャルワーカーなど)
- (5)行政関係者(行政保健師の場合は、(4)と兼ねる)
活動事例の調査方法
質問紙で全体の活動概要等を調査しました。半構成的面接で「みんなでよく協力して計画し後によかったと思う活動」をいくつか挙げてもらい、協働の実際や活動全体による変化を調査しました。
事例の構成について
各事例について、活動の概要、協働のポイント、活動の経過と内容、専門職と市民等との協働の方法、活動の成果で構成しました。
活動の概要は、活動の場・範囲、活動のきっかけ、活動の目的、専門職の関わりです。
協働のポイントは、特にこの事例に特徴的な専門職と市民等との協働のポイントです。
活動の経過と内容は、協働のポイントの背景となる活動の経過と内容です。
専門職と市民等との協働の方法は、インタビューの中から協働に関わる心の持ち方や取り組み方が表れている文脈をその主体がわかるように取り出し、見出しをつけました。
活動の成果は、活動評価の観点で整理しました。
最後に、事例横の番号についてです。全事例の専門職と市民との協働の方法を意味内容の類似性や相違性によりカテゴリ化し、カテゴリ内の全ての主体に見られる共通性に着目して、「多様な参画者による協働の方法のコアとなる考え方」の7つの観点を導きました。番号はこの7つの観点の番号です。下記が7つの観点についての説明です。
多様な参画者による協働の方法のコアとなる考え方について
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①楽しいことをする
多様な参画者で活動内容を考える上で、当事者が楽しい・来てよかったと思える活動を志向する姿勢や、当事者や支援者の立場に関わらず自らが楽しんで活動に参加する、活動を通した人や社会とのかかわりを楽しむという考え方です。
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②一人ひとりの存在を大事にする
多様な参画者で活動を計画する上で、当事者や支援者の立場に関わらず、一人ひとりの思いや意見を大事にする、また、一人ひとりの得意を大事にして活動の中で出番をつくるという考え方です。
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③人と人との水平な関係を重視する
専門職であっても立場や所属の垣根をとり払って人としてまず出会う姿勢や仲間意識をもつこと、住民も当事者に対して認知症の人として特別視するのではなく、仲間として接していこうとする考え方です。
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④共に考え行動する仲間をつくる
多様な参画者による活動を具体的にしていく上では、地域でアクションにつなげられる仲間をつくることや、経験なく進め方がわからない場合に経験のある仲間を引き入れ、共に学びあう仲間をつくろうとする考え方です。
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⑤立場を乗り越えて自ら行動する
多様な参画者で活動をすすめていく場合、当事者や家族だからこそ担える役割を意識して行動を自覚することや、地域の問題を自分のこととして捉えできることをすること、住民の取り組みに共感して専門職や行政職の自分が貢献できることをしようとする考え方です。
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⑥未来志向で支え合う地域づくりを考える
多様な参画者で活動を始めていく場合、共通の関心を持つ人たちと新しいことができるかもしれないと期待感をもち、将来を見据えて、子ども世代を含めた地域づくり、認知症になっても安心して暮らせるまちづくりをしていこうとする考え方です。
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⑦無理なくできることを考える
多様な参画者で活動を新しく始める上では、慣れないことやこれまでにないことで負担や重荷に感じることもありますが、無理なくできることを考える、できないことはできないと割り切る姿勢、「できることをやる」を前提にみんなで協力するなどの考え方です。
事例
ご近所を中心に対象エリアとした事例
自治会地区・住宅地区を対象エリアとした事例
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ほっとくるカフェ(認知症カフェ)
- ①
- ②
- ③
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東千葉和・輪・環の会(住民グループ)
- ①
- ③
- ④
- ⑦
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困ったときの相談窓口(住民グループ)
- ⑤
- ⑥
- ⑦
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ベイタウンかふぇ(認知症カフェ)
- ①
- ②
- ④
- ⑤
- ⑥
- ⑦
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カフェ月と木(認知症カフェ)
- ②
- ④
- ⑤
- ⑥
- ⑦
自治体全域を対象エリアとした事例
本サイトおよび研究は、JSPS科研費 JP23K21560の助成を受けたものです。