国公私立大学病院副看護部長研修

秋田大学

秋田大学医学部附属病院

報告者氏名:小松 順子

平成27年度
国公私立大学病院副看護部長研修
共に学び育つ地域包括ケアに向けた教育連携構築

[概要]
秋田県の高齢化率は全国一であり、平成42年には40%を超える見込みである。また、医師の偏在化や在宅医療を担う訪問看護ステーションの設置数が全国平均より少ないなど、秋田県の医療は限られた医療資源で提供されている。院内では地域連携部門として、地域医療患者支援センターが中心に活動しているが、看護部が中心となる地域連携活動はほとんど行われていなかった。そこで、医育機関である当院が地域の教育の基幹となり、地域との顔の見える関係を作り、共に学び育つ教育体制を構築する必要があると考え、専門的知識を持つ看護師が所属する各センターと目標を共有し、内的動機づけをしながら活動を推進した。各センターと共に実施した地域連携に関するニーズ調査の結果、当院の課題としては、①急性期病院における退院支援の必要性の理解②在宅のイメージがつきにくい③意思決定支援の実践への不安が抽出された。さらに、地域が大学病院へ求めることは、①自施設への継続的な指導・支援②指導者育成③組織的なシステム構築・連携であった。以上の結果より、「生活の中の医療を理解し、患者家族の意思決定を支えることが出来る看護実践能力の向上」を目指した人材育成が地域連携における目標の一つとして掲げられた。また、看護部が地域の人材育成を推進するためには、看護部教育担当の組織化が必須であり、医師、医療者の生涯教育や多職種連携を担う「総合臨床教育研修センター」の中での看護部教育担当の位置づけを明確化した。各センターが、今年度の課題解決にむけた活動計画を実践し、成果を可視化していくことが、地域との教育連携推進につながると考える。