国公私立大学病院副看護部長研修

神戸大学

神戸大学医学部附属病院

報告者氏名:花岡澄代

平成20年度
国公私立大学病院副看護部長研修
「テーマ:臨床倫理委員会の組織化」

[概要]
本来医療職には、倫理的な規律が求められており、当院でも様々な専門職が協働するなか、一人一人が専門職としての倫理綱領に基づいて、責任もってその職務にあたっている。医療の現場では、個人の置かれた環境や人生観により様々な価値観が存在し、双方の言い分が異なる場合など、倫理的な意思決定を求められる場面が非常に多くある。
3年前より看護師を対象に、看護倫理の講義を担当し、倫理的問題の事例検討を実施してきた。その事例の多くは、臨床現場での医療従事者間、患者や家族の価値観のズレから生じる問題であった。しかし多くの看護職は、それが倫理的問題であることに気付かないでいる。また、倫理的責任と法的責任とを区別できないまま検討することで、問題が適切に解消できず、ジレンマを抱える結果となっていた。このジレンマが、看護師の退職理由の要因となっている例も少なくない。そこで、臨床で発生している倫理的問題を明確にし、職員が遭遇する倫理的なジレンマを表出できる風土ができれば、倫理的感受性を高め、行動する力が育成されると考えられる。患者が人間本来の生き方を貫き、その人権が守られる医療や看護が実施されれば、医療の標準化が図られ、医療の質の向上につながると考える。
看護師をはじめ病院の職員が抱える現場の倫理的ジレンマを表出できる仕組みとして、病院内に臨床倫理委員会を設置・機能させることが重要であると考え、臨床倫理委員会の組織化に取り組んだ。