国公私立大学病院副看護部長研修

熊本大学

熊本大学医学部附属病院

報告者氏名:東絹子

平成22年度
国公私立大学病院副看護部長研修
フィジカルアセスメント強化のための院内教育システムおよび教育プログラムの作成

[概要]
特定機能病院・高度先進医療を推進している急性期病院において患者の身体・心理・社会的側面全体を総合的に、アセスメントできる看護師を育成する院内教育システムの構築や患者の状態を基本から正確に判断できる段階的・継続的教育プログラム作成は、看護の質を担保する上で必要であり、緊急の課題である。

1.当院看護師の経験年数別アセスメント能力の現状分析
 当院は看護者個々の看護実践能力をクリニカルラダーを用いて客観的に評価し、キャリア発達を支援しているが、経験年数5年目以下の看護師が6割を占めるため経年別に現状を分析した。
1年目:身体を総合的にアセスメントし、必要とされる治療や看護が把握できない。業務を覚えるのに精一杯で複雑な患者状態分析などができない。
2年目:一応業務は覚え始めるが、身体に関するアセスメント、必要とされる介入ができないのに(自信のなさ)、独り立ちを要求されるため不安が強度になり離職につながる可能性がある。
3年目:一通りの業務は実施でき、1年目看護師の指導も何とかできるが、身体・心理・社会的側面を総合的にアセスメントし必要とされるケアについては個人差がある。中には高度先進医療における診断と治療関連の理解が困難で、ニアミスもある。
4 年目-5年目:受持患者と家族から情報収集し状況を判断したケアはできるようになる。しかし患者の予測性を考えたアセスメントやケアは困難である。プリセプター(実施指導者)となり後輩を指導するが、根拠に基づいた指導は難しい。病棟全体の業務と委員会役割などの業務が過重となり、燃え尽き現象が高くなっている。

2.当院の看護師教育の現状
1)プリセプターシップ制を導入しており、部署に教育担当者やプリセプター(実地指導者)を配置し、プリセプター以外の先輩看護師も協力して屋根瓦方式の教育を取り入れ、新人指導を強化している。2)教育支援室から新人看護師の支援と指導に出向いているが、部署への常時配置はなされていない。3)フィジカルアセスメント研修は、1年目のみで2年目の継続的な研修は実施していない。4)新人看護師の看護実践能力向上に向けて、安全や感染面を重視したシナリオベースにした日常生活援助技術研修を教育担当者、実地指導者に実施し、OJTで新人に対して指導している。